「007」映画シリーズ第9作『007/黄金銃を持つ男』のあらすじとキャストなどを徹底解説!
映画『007/黄金銃を持つ男』の解説・見どころ
イアン・フレミングの小説「007」シリーズ長編第12作にして遺作。「007」映画シリーズ第9作目。3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーア主演第2作目。
ユーモア色が濃厚な作品だが、一回転ひねりジャンプのカースタントや運河でのボートチェイス・シーンなどの見せ場も多い。ロケ地はタイ、香港、マカオなどアジアで撮影され、本作公開の前年に大ヒットしたブルース・リー主演『燃えよドラゴン』の影響で格闘技のシーンも盛り込んでいる。
本作に登場するエネルギー危機解決の切り札に太陽エネルギーの利用が物語上の設定になっているのは、本作公開の前年1973年から経済問題になっていた第1次オイルショックの影響によるものである。黄金銃の”黄金”には「太陽エネルギー」の意味も含まれている。
映画『007/黄金銃を持つ男』のあらすじ
映画『007/黄金銃を持つ男』予告編
映画『007/黄金銃を持つ男』のあらすじ
正体不明の謎の殺し屋フランシスコ・スカラマンガ(クリストファー・リー)と愛人のアンドレ・アンダース(モード・アダムス)がスカラマンガのアジトのビーチでくつろいでいる。殺し屋(マーク・ローレンス)がスカラマンガのアジトにひっそりと上陸する。召使いのニック・ナック(エルヴェ・ヴィルシェーズ)は、彼をスカラマンガの部屋に招き入れる。報酬の支払いを先に要求するが、半分だけ渡されスカラマンガの暗殺に成功したら、残りの半分を支払うとニック・ナックに言われる。丸腰のスカラマンガがサウナに入るために部屋に入ってくると殺し屋は先手を打つ。殺し屋とスカラマンガの対決がはじまる。いろいろな仕掛けがあるファン・ハウス(お化け屋敷のような部屋)の中で相手の出方を予想しながら対決するふたりの殺し屋。スカラマンガが愛用の黄金銃を素早く手に取り殺し屋を一撃で倒す。
ニック・ナック「あなたを殺してあなたの遺産を必ず手に入れますよ」
スカラマンガ「わたしは不死身だよ」
と笑いながら、殺し屋の拳銃を拾い、ジェームズ・ボンドの蝋人形の指先を正確に撃ち抜くのであった。
ある日、イギリス秘密情報部MI6にボンドのコードネームである”007”の番号が刻まれた黄金の銃弾が届く。M(バーナード・リー)は「黄金の銃を持つ男」との異名をもつ正体不明の孤高の殺し屋フランシスコ・スカラマンガからジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)への抹殺予告ではないかと推測した。そのためにボンドを現在の任務である失踪した太陽工学の専門家ギブソン博士を見つけ出す仕事から外すと命令する。ギブソン博士は太陽エネルギーを利用する新しい技術を使って現在のエネルギー危機を解決する重要な情報を持っていると考えられていた。ボンドはスカラマンガに見つかる前に先にスカラマンガを見つけ出す事を提案する。
ボンドは、1962年にベイルートでスカラマンガに殺されたと思われるエージェント002を知るベリーダンサーに出会います。彼女は恋人だった002が亡くなってから黄金の銃弾を幸運のお守りとしてへそに当てていた。ボンドが彼女を誘惑して黄金の銃弾をこっそり盗みだそうとしているとクラブの用心棒3人が部屋に当然押し入って乱闘になる。ボンドは突然のことで黄金の銃弾を飲み込んでしまう。
ボンドはQ(デズモンド・ルウェリン)に黄金の銃弾の成分を鑑定してもらう。Qの鑑定の結果、黄金の銃弾は金とニッケルが含まれていることからマカオの鉄砲鍛冶ラザーという人物が作ったものだと判明。早速、ボンドはマカオへ飛ぶ。
職業上の秘密から口を割らないラザー(マーン・メイトランド)を脅してスカラマンガの事を聞き出す。彼の話によると黄金の銃弾の注文を受けていて、これからカジノでの受け渡しに行く事を聞き出す。ボンドが、マカオのカジノで張り込みをしていると黄金の銃弾を受け取りに来たのはスカラマンガの愛人アンドレ・アンダースだった。
アンダースの後を追って、ボンドは香港に渡ります。ボンドは、香港で女性諜報部員のメアリー・グッドナイト(ブリット・エクランド)と出会い、彼女から愛人アンドレ・アンダースが滞在しているホテルを教えてもらいます。
そして、ボンドはアンダースからスカラマンガが今夜市内のあるナイトクラブに行くことを聞き出します。ボンドがナイトクラブを見張っているとある男がクラブから出たところでスカラマンガに狙撃されてしまう。殺された男は、太陽エネルギーの専門家で世界のエネルギー危機を解決するための太陽エネルギーを電気に変換する小型で強力な装置”ソレックス・アジテーター”を開発した直後に行方不明なっていたギブソン博士だった。殺されたギブソン博士からは”ソレックス・アジテーター”が無くなっていた。
ボンドは、ギブソン博士殺しの容疑者として現場にいたヒップ大尉(スーン=テック・オー)に逮捕されてしまうが、ボンドが連れて行かれた沈没したクイーン・エリザベス号はMI6のアジア拠点だった。そこでボンドはMと対面します。Mの話からスカラマンガは、ギブソン殺しを中国人実業家ハイ・ファット(リチャード・ルー)から依頼された。ハイ・ファットはスカラマンガと面識がないと推測しボンドはスカラマンガになりすましてハイ・ファットに会うためにバンコクへ向かいます。ボンドはQに頼んでスカラマンガと同じような第3の乳首の偽物を制作してもらう。
スカラマンガに化けたボンドは、ハイ・ファットの邸宅に忍び込む。スカラマンガとハイ・ファットは面識がないと思っていたが、すでにハイ・ファットとスカラマンガは会っていた。その夜、夕食に招待されたボンドがハイ・ファット邸宅を訪れると、2人の力士とスカラマンガの部下のニック・ナックに襲われます。ニック・ナックはボンドに止めを刺そうとするがハイ・ファットに止められる。
翌朝、ボンドが目を覚ますとそこは格闘技の道場だった。その道場で一番の生徒と対決することになるがボンドは彼を倒して道場から逃げ出す。ボンドは駆けつけてきたヒップ大尉と彼の姪2人に助けられる。ボンドは高出力の運河用ボートで運河に逃げる。その後を道場の生徒たちが追うが、ボンドにボートを沈められてしまう。その様子をたまたま奥さんと旅行に来ていたJ・W・ペッパー保安官(クリフトン・ジェームズ)が目撃していた。
一方、ハイ・ファットはボンドが来たことから身の危険を感じ姿を隠すことにするが、スカラマンガに殺されてしまう。スカラマンガは、ハイ・ファットを殺し彼の後任となり”ソレックス・アジテーター”を手に入れる。
ボンドは、グッドナイトとひとときの夕食を楽しむ。
ボンド「この一時に、そして来たるべき一時に。この仕事では未来に期待はできないが・・・」
ボンドはホテルの部屋でグッドナイトとロマンチックな夜を過ごそうとするが、突然、アンダースが訪ねてくる。アンダースからスカラマンガを恐れていてボンドにスカラマンガを殺して欲しいと告白される。そして、ボンドに黄金の銃弾を送ったのはアンダース彼女自身であった。その代わりに”ソレックス・アジテーター”を提供すると持ちかけられる。
翌日、キックボクシング会場でアンダースと出会う約束をする。しかし、彼女の裏切りに気がついたスカラマンガによってキックボクシング会場でアンダースはスカラマンガによってすでに殺されていた。ボンドの前に姿を表したスカラマンガは自分の生い立ちを話しながら尾行はしないようにと警告し部下のニック・ナックと会場を立ち去る。ボンドは殺されたアンダースのバッグからこぼれ落ちた”ソレックス・アジテーター”を見つけてピーナッツ売りに変装したヒップ大尉にこっそり渡す。ヒップ大尉はメアリー・グッドナイトに”ソレックス・アジテーター”を手渡す。彼女はニック・ナックを見つけて尾行する。ニック・ナックが車に乗り込んだので車のトランクに追跡装置を取り付けようとしているところをスカラマンガに見つかりトランクに押し込められる。ボンドは無線でグッドナイトの危機を知り車でスカラマンガの後を追跡する。
しかし、スカラマンガは納屋に隠してあったジェット・エンジン付きの翼を車に装着し飛び去ってしまう。
グッドナイトの追跡装置は、Mとボンドにスカラマンガが中国領海の沖合にあるアジトに戻ったことを知らせた。ボンドは、グッドナイトを救出するためにスカラマンガのアジトに乗り込む。スカラマンガは、ボンドを島内の超電導エネルギーシステムに案内し、最先端の太陽光エネルギーを使って従来の発電システムを駆逐して荒稼ぎする計画を披露する。
そして、スカラマンガはボンドにどちらが優れた射手か決めるために一対一の決闘を申し込む。
黄金銃(1発)とワルサーPPK(6発)の対決!
ボンドは、死闘の末にスカラマンガを倒す。そのころ、メアリー・グッドナイトは発電機室にいたスカラマンガの部下を工具で倒して液体窒素の入った冷却装置に落ちてしまい気温が上昇し、爆発が起こってしまう。ボンドは制御室にあるレーザー兵器から”ソレックス・アジテーター”を取り出し、爆発するスカラマンガ邸からメアリー・グッドナイトと脱出することに成功する。
ボンドとグッドナイトは、スカラマンガが利用していた帆船を使って島を離れる。二人は香港までのロマンチックな時間を楽しもうとしていたが、屋根裏に隠れていたニック・ナックに襲われる。ボンドは死闘の末にニック・ナックをスーツケースに閉じ込める。やっと二人だけの時間を楽しもうとしたその時、ベッドの横にある電話が鳴り、ボンドが出てみるとMからであった。
M「ご苦労であった。ところでグッドナイトを出してくれんかね」
ボンド「今来ますから・・・」
M「グッドナイト、グッドナイト!」
ボンド「おやすみ」と一言告げて電話を切る。
帆船の帆のてっぺんには小さな籠に入れられたニック・ナックの姿があった。
映画『007/黄金銃を持つ男』作品情報(スタッフ・キャスト)
原題:The Man with the Golden Gun
製作年:1974年
製作国:イギリス/アメリカ合衆国
製作会社:
イオン・プロダクション
配給:ユナイテッド・アーティスツ
日本公開日:1974年12月21日(土)
上映時間:124分
【 スタッフ 】
製作:
ハリー・サルツマン
【ボンド映画製作9作目】
芸術を愛した「007」シリーズのプロデューサー、ハリー・サルツマンの生涯アルバート・R・ブロッコリ
【ボンド映画製作9作目】
「007」シリーズを成功に導いたプロデューサー、アルバート・”カビー”・ブロッコリの生涯監督:ガイ・ハミルトン
原作:イアン・フレミング「007/黄金の銃を持つ男」
脚本:
リチャード・メイボーム
トム・マンキーウィッツ
音楽:ジョン・バリー
テーマ曲:モンティ・ノーマン「ジェームズ・ボンドのテーマ」
主題歌:ルル「007 黄金銃を持つ男」
撮影:
テッド・ムーア
オズワルド・モリス
編集:
レイ・バウルトン
ジョン・シャーリー
特殊効果:ジョン・ステアズ
特殊視覚効果:デレク・メディングス
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
【 キャスト 】
ロジャー・ムーア:ジェームズ・ボンド
任務遂行中の殺人が認められているイギリス政府公認の殺人許可書”殺しのライセンス”を持つイギリス情報局秘密情報部(MI6)00課に所属するエージェント。コードネームは”007”。普段は、MI6のダミー会社であるユニバーサル貿易の社員。
【3代目ジェームズ・ボンド】ロジャー・ムーアのプロフィールやキャリアは?
クリストファー・リー:フランシスコ・スカラマンガ
本作の悪役。誰も顔を見たことがなく、乳首が3つある肉体的特徴のみが知られる冷徹な殺し屋の帝王。黄金の弾丸1発で仕留めることを信条として、一仕事100万ドルで引き受ける。ボンドとの決闘に燃えていて殺しの仕事の前には必ず女と寝る。
ブリット・エクランド:メアリー・グッドナイト
ボンドの助手となるドジな諜報員。ボンドから預かった重要なアイテムを持ったまま敵を追跡しようと車のトランクに忍び込み反対に捕まったり、太陽光線のスイッチをお尻でうっかり押してしまったりとうっかりさはシリーズ最強。
モード・アダムス:アンドレ・アンダース
スカラマンガの愛人。優雅な生活を送っているがスカラマンガに恐怖を感じボンドに助けを求める。
クリフトン・ジェームズ:J・W・ペッパー保安官
無愛想なルイジアナ警察の保安官。奥さんとバンコク旅行中に偶然ボンドと再会することになる。
エルヴェ・ヴィルシェーズ:ニック・ナック
スカラマンガの部下。料理の腕前は一流。
リチャード・ルー:ハイ・ファット
大金持ちの中国人実業家。
スーン=テック・オー:ヒップ大尉
マーク・ローレンス:ロドニー
スカラマンガ暗殺のためにニック・ナックに雇われた殺し屋。
マーン・メイトランド:ラザー
マカオの鉄砲鍛冶職人。スカラマンガから黄金の銃弾の注文を受けている。
バーナード・リー:M
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長。
デズモンド・ルウェリン:Q
イギリス情報局秘密情報部特務装備開発課(Q課)の責任者。QはQuartermaster(需品担当将校)の略称。彼の発明品をすぐに壊すボンドに少し呆れている。
ロイス・マクスウェル:ミス・マネーペニー
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長Mの秘書。
映画『007/黄金銃を持つ男』トリビア
◎スカラマンガのアジトの撮影は、タイ・ブーケット近くのバンガー湾にあるピンカン島で行われた。ボンド映画のロケ地になって以降は観光名所となり、ピンカン島の沖にある小さなタプー島はジェームズ・ボンド島と呼ばれている。映画のロケ地になるまでは無人の島だった。
◎『007/黄金銃を持つ男』に出演するまでは、ニック・ナック役のエルヴェ・ヴィルシェーズは貧乏でカリフォルニア・ロサンゼルスを車のなかで生活していました。
◎ロジャー・ムーアは、タイにロケ滞在中、コウモリがたくさんいる洞窟を発見しました。彼は、スカラマンガ役のクリストファー・リーを探し出し、彼が見つけたものを彼に話し、「マスター、彼らはあなたが命じるのを待ってます!」と冗談を言うことを我慢出来ませんでした。ドラキュラ伯爵役で有名なクリストファー・リーはこの冗談を高く評価しています。
◎ロジャー・ムーアによると、ガイ・ハミルトン監督は、イアン・フレミング本来のジェームズ・ボンドのキャラクターに近づけるために、ボンドをさらにハードなキャラクターにしたいと考えていました。その方法の1つは、ボンドにアンドレア・アンダースの腕を背中でひねらせ、彼が知りたいことを彼に言わない限り、腕を折ると脅すことでした。ムーアはそのシーンを撮影することを楽しんでいなかった。ボンドは代わりに彼女を誘惑して情報を聞き出したのだろうと感じた。ムーアが楽しんでいない別のシーンは、ボートチェイスの追跡中に少年を運河に突き落とすことでした。
◎コークスクリューによる車のジャンプは、この映画が製作される数年前から考えられていたようです。コーネル大学の研究者たちは、国家道路交通安全局のために横転事故の研究をしており、この映画で使われているバレルロールのスタントをコンピューターでシミュレーションしていた。レーシングドライバーのW.J.ミリガンJr.は、1960年代から1970年代にかけて、アメリカン・モーターズ社のスポンサーを得て、アメリカン・スリル・ショーのプロモーターを務めていました。このバレルロール・スタントは、アストロ・スパイラル・ジャンプと呼ばれ、1972年1月12日にヒューストンのアストロドームで、AMC・ジャベリンを使ってデビューしました。ミリガンは、ペンシルバニア州ハーシーで行われたアメリカン・スリル・ショーの公演中に、プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリから、ジェームズ・ボンドの映画でこのスタントを披露してほしいと連絡を受けました。プロデューサーのハリー・サルツマンとアルバート・R・ブロッコリは、このスタントを使用する前に他の映画に登場させたくないと考え、特許と著作権を取得したと言われている。運河の上で360度の角度で車を回転させるこのスタントは、8台のカメラで同時に撮影され、イギリスのスタントマン “バンプス “ウィリアードがたった1テイクで行いました。このスタントは非常に危険なものであったため、万が一の事態に備えて、ダイバー、救急車、クレーンなどが待機していた。あまりにも一瞬の出来事で、このシーンはスローモーションで使われています。ウィリアードは最初のテイクでジャンプを成功させて、多額のボーナスをもらった。ジェイ・ミリガンは、この映画で使われたAMC・ホーネットで運転のスタントを行った。AMCはこの映画で使われた15台の車を提供した(そのうちの何台かはAMC・マタドールのパトカー)。スパイラル・ジャンプのスタントには2台のAMC・ホーネットが使用されたが、そのうちの1台はジェイ・ミリガンが所有しており、これはバックアップ用の車両で、もう1台は博物館に保管されている。このジャンプは、コンピュータ・モデリングによって計算された史上初のスタントであるとも言われています。
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記事作成日:2020/06/23
最終更新日:2022/04/27