007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物、あらすじは?

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物、あらすじは?

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物、あらすじなどについての紹介です。

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の出版データ

 

タイトル:

007/ムーンレイカー

 

アメリカ出版時(ペーパーバック)のタイトル:

Too Hot to Handle

 

英国の出版年:

1955年4月5日

 

出版社:

ジョナサン・ケープ社

 

ジェームズ・ボンド007の生みの親、英国人作家イアン・フレミングの生涯と創作の原点

出典:https://historical.ha.com/itm/books/mystery-and-detective-fiction/ian-fleming-moonraker-london-jonathan-cape-1955-first-edition-first-printing-signed-and-inscribed-by/a/6094-36251.s

ハードカバー版

初版本のカバーデザイン

カバー・アーティスト: ケネス・ルイス

 

ページ数:

255ページ

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物

 

ジェームズ・ボンド

英国秘密情報部員

ジェームズ・ボンドのプロフィールはコチラ!

ジェイムズ・ボンドという名の男【ジェームズ・ボンド007のプロフィール】ジェイムズ・ボンドという名の男【ジェームズ・ボンド007のプロフィール】

 

M

情報部の長官

 

ヒューゴ・ドラックス卿

謎の億万長者

 

ウォルター博士

ロケット科学者

 

ウィリー・クレッブス

ドラックスの部下

 

エゴン・バーチ

ドラックスの部下(電子工学技術者)

 

トーロン少佐

軍需省派遣の保安係り。4人の子供を持つ父親。

 

ガーラ・ブランド

ドラックスの秘書

 

ローリア・ポンソンビー

国防省特任秘書官。ボンドの秘書。

 

ビル

休暇でベルリンにいる00課の3人のうちのひとり(008号)

 

0011号

任務でシンガポールに潜入中の00課の3人のうちのひとり

 

ペイジルドン卿

ブレイズ・クラブの会長

 

マイヤー

ヒューゴ・ドラックス卿のカード仲間

 

プリヴェット

ブレイズ・クラブのポーター

 

デンジャーフィルド

ブレイズ・クラブの会員

 

ポーターフィルド

ブレイズ・クラブ食堂の給仕

 

グリムリー

ブレイズ・クラブ食堂の酒係

 

ビリー将軍

ブレイズ・クラブの会員

 

ダフ・サザーランド

ブレイズ・クラブの会員

 

ロニー・ヴァレンス

ロンドン警視庁副総監

 

トレイン教授

誘導ミサイルの権威

 

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」のあらすじ

 

【もくじ】

 

Ⅰ 月曜日

第1章「秘密の書類仕事」

第2章「コロンビュウム鉱石王」

第3章「ベリー・ストリッパーなど」

第4章「シャイナー」

第5章「ブレイズ・クラブの夜食」

第6章「初対面のゲーム」

第7章「手の早さ」

 

Ⅱ 火曜日と水曜日

第8章「赤い電話」

第9章「あとを引きうけろ」

第10章「警視庁特別部」

第11章「婦人警官ブランド」

第12章「ムーンレイカー」

第13章「死の招き」

第14章「むずむずする指」

第15章「手あらい裁き」

第16章「黄金の日」

第17章「無茶な推理」

 

Ⅲ 木曜日と金曜日

第18章「敷石の下に」

第19章「消えた人間」

第20章「ドラックスのわな」

第21章「説得屋」

第22章「パンドラの匣」

第23章「ゼロ・マイナス」

第24章「ゼロ」

第25章「ゼロ・プラス」

 

 

【あらすじ】

 

ボンドが最初に見た文字は

「HELL(ヘル)はここ・・・地獄(ヘル)はここ・・・地獄はここ・・・」

第3章「ベリー・ストリッパーなど」

 

 

晩春

月曜日

ボンドはいつもの射撃の訓練が終わると本部での書類整理の仕事に戻った。

 

ボンドはMに呼び出されてMの部屋に向かう。

前回の任務(「死ぬのは奴らだ」)で手に入れた金貨や財宝は英国の所有になったと知らされる。

 

Mの話では、英国のために1000万ポンドの私財を投じて、超大型原子力ロケット(ムーンレイカー号)を建造しはじめたヒューゴ・ドラックス卿がカードの“いかさま”をしている。

ヒューゴ・ドラックス卿は、Mも会員になっているブレイズ・クラブに入会してから1年間負けることなく勝ち続けているのはおかしい。

 

以前、仕事のためにカードの“いかさま”について訓練を受けたボンドがドラックスの”いかさま”を調べるために選ばれる。

 

その夜、Mとボンドはブレイズ・クラブを訪れた。

ボンドは、ブレイズ・クラブでヒューゴ・ドラックス卿のブリッジのゲームを観察する。

ボンドは、親になったドラックスの“いかさま”(シャイナー)を見破る。

自分が親になったときに鏡のように磨いた銀のシガレットケースにカードがすべて写ったのを記憶する“いかさま”で、プロだったらすぐに見破られてしまうものだった。

ボンドはドラックスに誘われて勝負することになる。

勝負に負けてきたドラックスは、ボンドに高額の勝負を提案する。

ボンドは受けて立ち、わざと“いかさま”をしてドラックスに勝つ。

ボンドは、勝負に勝ち15,000ポンドを手に入れた。

 

勝負に負けたヒューゴ・ドラックス卿は、

「私だったらその金は早く使っちまうね、ボンド中佐」と言い残して部屋を後にした。

 

 

翌朝、ボンドはMに呼び出される

ゆうべ、ドラックスの基地で事件が起こった。

夜7時半、ムーンレイカーの基地の人間が、近くの酒場(「この世の天国」)で拳銃によってふたりの人間が死亡した。

ドラックスの部下エゴン・バーチが「俺はガーラ・ブランドに惚れてるんだ。貴様なんかに渡さないぞ」と叫び、保安係のトーロン少佐がエゴン・バーチに射殺された。

その後、すぐにエゴン・バーチは左手を上げて「ハイル!」と叫び拳銃自殺をした。

金曜日の正午にムーンレイカーの試射が行われる。

今まで変わったことはないと報告していた保安係のトーロン少佐が大臣にじかに会いたいと連絡してきた。その夜、事件が起きて射殺された。

この不可解な殺人事件の調査で、ボンドはドラックスのムーンレイカーの基地へ派遣されることになった。

 

 

5月末の火曜日の夕方

ボンドは、愛車のベントリーでドラックスの基地へ向かう。

ボンドは、ドラックス、ガーラ・ブランド、ウォルター博士、ウィリー・クレッブスらに迎えられる。

ガーラ・ブランドは冷たい感じだったが、写真で見るよりはるかに美人だった。ドラックスがあまりにしつこく言い寄ってくるのでガーラは婚約指輪をしていた。

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出典:https://www.pinterest.jp/jokesonulaugh/james-bond/

 

夕食後、ボンドはドラックスから施設とムーンレイカーの説明を受ける。

基地内でボンドが不思議に思ったことは、部下たちはドラックスの命令で頭を短く刈り込んでひげを生やしていることだった。

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出典:https://www.jamesbondlifestyle.com/news/folio-societys-illustrated-edition-moonraker

 

 

水曜日

ボンドは早速、殺人事件の調査に乗り出す。

トーロン少佐が使用していた海図からふたりの指紋を採取する。

書類キャビネットから基地で働いている人間50人の全員の履歴書(指紋付き)を確認するが、全員犯罪歴がなかった。

トーロン少佐の海図にはクレッブスの指紋がついていた。

ボンドは身の危険を感じ、握りの飾りをとったベレッタを枕の下に隠し眠りについた。

 

 

ボンドはドラックスからムーンレイカー発射までの予定を知らされる。

水曜日

1時にムーンレイカーに燃料を注入するために基地は閉鎖。

 

木曜日

昼間にムーンレイカーの点検。

 

金曜日

ドラックスがジャイロの調整をする。

11時45分 BBC放送が実況解説を開始。

正午 ムーンレイカーの発射ボタンをドラックスが押す。

ムーンレイカーの着水目標地点一帯は木曜日夜半から海軍がパトロールを開始する。

 

クレッブスはボンドやガーラ・ブランドの部屋に忍び込んでいた。

ボンドの部屋であら捜しをしていたクレッブスを問い詰めるが白状しなかった。

 

ボンドとガーラは、ムーンレイカーの発射に向けて基地の外の浜と断崖の警備を調べて回った。

海中から断崖を調べることをボンドは提案し、ガーラとふたり下着姿で海に潜る。

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出典:https://www.jamesbondlifestyle.com/news/folio-societys-illustrated-edition-moonraker

 

ボンドとガーラが海から上がると断崖の上で爆発が起こり、危うくふたりは生き埋めになりかけるところだった。

 

ふたりはセント・マーガレットで夕食を済ませて、基地に帰ると夕食中のドラックス、クレッブス、ウォルター博士は、ボンドとガーラが帰ってきたのを見て愕然とする。

ドラックス、ガーラ、クレッブスは明日の午後ロンドンへ行くと聞かされる。

ボンドも直感的にロンドンの本部へ報告に行くと答える。

 

しかし、ボンドが気になったことは食卓に用意された食事は3人前だけだった。

 

 

木曜日

ドラックスの車は、ベンツ300Sタイプ(左ハンドルのスポーツタイプ)。

ドラックス、ガーラ、クレッブスはドラックスの車でロンドンへ。

ボンドは愛車のベントリーでロンドンに向かう。

 

ドラックスの用事が終わった後ボンドとガーラは、7時半におちあい食事をして、ボンドの車で帰宅しようと計画を立てていた。

 

ロンドンに向かう車の中でガーラは、ドラックスのズボンの後ろポケットから彼がいつも使っている黒い手帳をこっそりと抜き取る。

ガーラはトイレに行きたいと言って車を停めてもらう。

ガーラは急いでドラックスの使っている手帳の中身を確認する。

 

毎日、気象庁からの気圧、風力、気温が書き込まれてあり、ジャイロ・コンパスを調節する数字も書いてあった。

だが、ガーラが毎日、提出している数字と違っていた。

彼女が毎日、計算している数字と90度もコースが違っていた。

ガーラは黒い手帳をドラックスのズボンに戻そうとしたが、後ろの席に座っているクレッブスにばれてしまう。

 

イバリー街のバッキンガム宮殿前のはずれにある小さな家に到着すると最上階の機械がたくさん置いてある部屋にガーラは閉じ込められてしまう。

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出典:http://www.jamesbondthesecretagent.com/2017/

 

ドラックスとクレッブスのふたりは機械に向かって作業を始める。

 

ガーラは、ドラックスが計画しているムーンレイカーの落下場所は北海の目標地点から90度それた位置が、そこではじめて“ロンドン”だと気がついた。

そして、弾頭には、原爆弾頭を搭載するつもりなのだ!

ドラックスとクレッブスのふたりがいましている作業は、ロンドンのど真ん中にムーンレイカーを落下させるための誘導位置の作業だった。

 

 

7時45分

ボンドはガーラが時間に遅れていることを不安に思っていた。

 

ボンドは警視庁に寄ってヴァレンスに会っていた。

ヴァレンスから聞いた話では、今日一日でポンド貨が大量に売り出されていた。

タンジールにはじまり、チューリッヒ、ニューヨークと世界中で売られた。

1日で3セントも暴落していた。

始まりは、タンジールのドラックス金属社、今日一日で英ポンドを2,000万ポンド近くも売りに出した。

大英銀行はこれ以上の暴落を防ぐために防戦買いを行った。

 

ボンドはヴァレンスに連絡してガーラが待ち合わせの時間に現れないと説明してドラックスの予定を聞き出す。

 

ドラックスの今日の予定。

19時から20時まで軍需省訪問。

その後、ブレイズ・クラブで食事。

21時、ブレイズ・クラブを出発。

24時に基地着。

 

ボンドは夕食を急いで終わらせて、8時45分にレストランを出る。

ブレイズ・クラブから出てきたドラックスをボンドはベントリーで追跡を開始した。

 

「ようし、やってやる!」とボンドは腹のなかでつぶやいた。

 

ガーラは手足を縛られてドラックスのベンツに乗せられていた。

ボンドはそのあとを猛スピードで追いかける。

 

ボンドの車のあとを赤のアルファ・ロメオ(アタボーイ2世号)が追い抜いていった。

ドラックスのベンツと競り合いになり、赤のアルファ・ロメオは横転し垣根を超えて畑に落ちていった。

 

巨大な新聞紙用の巻取り紙を20本積んだ大型8輪のディーゼル・トラックが坂道を登っていくのをドラックスは見かける。

ドラックスは、クレッブスにトラックに飛び移り、巻取り紙を縛ってあるロープを切るように命令する。

クレッブスはトラックに飛び移り、巨大取巻き紙のロープを切る。

ボンドのベントリーは、巨大巻取り紙が転がってきて避けきれずガードレールに突っ込む。ボンドは、車から吹き飛ばれて顔じゅう血だらけになり気を失う。

 

ドラックスは、ボンドが所持しているベレッタを押収し、ボンドをベンツの後ろの席に積み込む。

ドラックスは、クレッブスにボンドの車からナンバープレートを外すように命令した。

 

 

基地に帰り着いたドラックスは事務所でボンドとガーラを銅線で椅子に縛り付ける。

クレッブスは、小型ガスバーナーに火をつけて、ドラックスはボンドとガーラに尋問し、ドラックスは、自分の計画について話はじめた。

 

大戦中、英米の後方連絡司令部の建物を破壊することが計画された。アメリカ軍の制服を着た人間とイギリス軍の制服を着た人間ひとりずつ、盗んだ偵察車に爆薬を2トン積んで食堂のそばに駐車した。7時の夕食時に爆弾の信管をセットした。

 

その日の朝、別の仕事で敵軍の通信部隊の伝書使を襲う。その帰りに友軍の飛行機から攻撃されて、気を失った。気がついたら英米の後方連絡司令部の建物(自分が爆弾を仕掛けた食堂の近く)に運び込まれていた。

次に気がついたら顔が半分吹き飛んで病院にいた。ドラックスは治療を受けて病院をたらい回しにされている1年間、イギリスに復讐してやる計画をたてた。

イギリスに対して憎悪と侮蔑は日増しに激しくなっていた。

 

身元不明だったが、名簿の中から本名に似た「ヒューゴ・ドラックス」というイギリス人の名を選んだ。

 

まずは金を盗むために街中を探し歩いてユダヤ人を見つける。ユダヤ人の金貸しを殺害し、15,000ポンドを盗む。

タンジールへ行って、コロンビュウム鉱の買い占めを始める。

5年間は金のために働いて、100万ポンド貯める、そこから2,000万ポンドまで増やす。

イギリスに帰り、ロンドンで100万ポンドをばらまく。

ドイツに行って、戦時中の知り合い(殺人と拷問が得意)のクレッブスを見つけ出す。技術者は50人集めた。

また、モスクワではウォルター博士を紹介される。ドラックスの計画を熱心に聞いたロシア人は原爆弾頭の製作に取り掛かった。

 

月曜日の夜、ロシアから原爆弾頭が到着したが、その情報をトーロン少佐が聞きつけた。トーロン少佐殺害の志願者はバーチが選ばれた。

 

明日の12時すぎには、ロシアの潜水艦が迎えにくる計画になっている。

頭を剃って髭をはやすのは部下たちの身元がばれないようにするためだった。

 

ドラックス「きちょうめんさだよ。あらゆるこまかい点まで、きちょうめんに念を入れること、これがわたしの昔からの格言だ」

ボンド「はっきりした病歴というべきだな。奔馬性誇大妄想狂だな。嫉妬と被害の妄想だ」

 

さんざん悪態をついたボンドを怒り狂ったドラックスはボコボコに殴りつける。

明日、ムーンレイカーが発射される時に司令部のドアを開けたままにしておくのでふたりともはムーンレイカーの噴射の熱で蒸し焼きにされて死ぬだろうとドラックスはガーラに語った。

ドラックスとクレッブスはテーブルに小型ガスバーナーを置き忘れて部屋を出ていった。

 

ボンドとガーラ・ブランドは、両手首を銅線で縛られたまま椅子に座らされていた。

ドラックスのテーブルに置き忘れたロンソンの卓上ライターをボンドは口でくわえて小型ガスバーナーに火をつけられる位置にそれぞれ設置する。

ボンドはロンソンの卓上ライターを口にくわえて火をつけ、小型ガスバーナーの安全バルブを緩めてガスバーナーに点火する。

ボンドは炎がついた小型ガスバーナーを口にくわえて、ガーラ・ブランドの右手首と椅子を縛っている銅線を溶かして、まずガーラを自由の身にした。

ガーラはボンドの銅線を解いてボンドにキスをした。

ガーラ「あなたの努力にたいするご褒美よ」

ボンド「君は素晴らしい」

 

ボンドはムーンレイカーの尾翼の下でロンソンの卓上ライターに火をつけてムーンレイカーは爆破する計画をガーラに話すが、ガーラはムーンレイカーのジャイロを調節して落下地点を今までどおりの北海海上に調節しようと話す。

 

ボンドとガーラは、ドラックスに逃げたと思わせるためにふたりは換気孔の中に隠れる。

ボンドとガーラがいないことに気が付いたドラックスは換気孔に蒸気を送り込んでふたりを蒸し焼きにしようとするが、ふたりはなんとか耐え抜いた。

 

 

金曜日 11時45分

ボンドとガーラは換気孔のなかに隠れていた。

 

ムーンレイカーの発射時刻が近づく。

 

ボンドは、換気孔から抜け出しムーンレイカーのジャイロ室に潜り込む。

ボンドは主航路コンパス、横揺れ規制ジャイロ、縦揺れと偏向ジャイロをそれぞれ、ガーラから聞かされたジャイロの数値に変更した。

 

ムーンレイカー発射4分前

司令部のドアを閉めてボンドとガーラは、ドラックスの部屋のシャワールームで抱き合いながらシャワーを浴びる。

 

ラジオでBBCアナウンサーのムーンレイカー発射の実況中継が始まる。

 

ドラックスは発射ボタンを押して、桟橋からロシアの潜水艦に乗り込む。他の技術者たちはすでに乗り込んでいた。

 

ムーンレイカー発射!

 

ドラックスたちを乗せたロシアの潜水艦はムーンレイカーが落ちる危険海域に向かって進んでいった。

 

そして、ムーンレイカーはロシアの潜水艦に命中、大爆発を起こし黒雲が空に上がった。

 

 

翌日の午後

ボンドはMの報告を聞かされる。

死者は200名、行方不明者も同じくらい。オランダでも被害がでた。

マージェンザー号を含む船が2隻転覆。艦長、BBCアナウンサーらは行方不明。

英国政府は真実を公表せず、ムーンレイカーは燃料を半分しか使っていなかったので落下の衝撃で予想外の強力な爆発を起こしたと発表。

損害はすべてイギリスが賠償することになった。

 

そのほか、いろいろ噂が出ていた。

ボンドとガーラが担架で基地から運び出されたこと。

ボウォーター社は、新聞用紙をダメにされたことでヒューゴ・ドラックス卿を訴えることになった。

アルファ・ロメオに乗っていた若い男は死亡し検視が行われた。

ボンドの愛車ベントリーは大破。

 

ボンドとガーラは、1カ月ほど国外に姿を隠すように命じられる。

ガーラ・ブランドは、ジョージ十字勲章を即時授与されることになった。

ボンドは、秘密情報部の規則で受け取ることはできないとMが首相に返答した。

 

ボンドとガーラのふたりは明日の午後に国外へ出発することになった。

 

大破したベントリーに代わり新しい車が注文されていた。

1953年マークⅥ型(オープンの大型、色は同じくグレイ)。

 

Mからのボンドへの贈り物(仕事を忘れるなという教訓みたいなもの)は新しいベレッタ。「これが必要だろう」とMのグリーンのインクで書かれたカードが添えられていた。あともうひとつは銃身の長いコルト。

 

ボンドは、ガーラとふたりでフランスへ行く計画を立てていた。ボンドと入れ替わりに008号が帰ってくることになった。

 

 

6時5分前

ボンドは公園の椅子に座りながら夕食の待ち合わせをしたガーラ・ブランドを待っていた。

ガーラが「ジェームズ」と声をかけてきたが、予期していたような口調ではなかった。

 

ボンドが振り返ると後ろには金髪を短く刈り込んだ若くて背の高い男が背を向けていた。

 

ガーラ「あの人と結婚します。あしたの午後」

 

ボンドには退場のせりふが必要だった。

ボンドはあたたかい笑顔で「妬けるね。あすの晩は、君とふたりのべつな計画を立てていたんだ」

「さよなら、ガーラ」

「さよなら、ジェームズ」

 

二人はお互いに背を向け、それぞれ別な生活に向かって歩み去った。

 

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の小説のテーマ

 

原作小説の第3作「007/ムーンレイカー」は前2作のエキゾチックな舞台から一転して、ロンドンとケント州を舞台にした作品となる。イアン・フレミングは、ドーバー郊外のセント・マーガレット・ベイに週末用のコテージを所有していたため、この地域をよく知っていました。

また、イアン・フレミングもメンバーだったゴルフの名門クラブ「ロイヤル・セントジョージズ・ゴルフクラブ」も近くにあります。

 

ドーバーの白い崖は、イギリスの景勝地のひとつでイギリスの象徴とも言われています。歴史的に大陸からの侵略に対して防壁となってきた有名な場所。また、作中ではロンドンの中心部の描写もあり「007/ムーンレイカー」は「イギリス讃歌」の小説と考えられています。

 

ドーバーの白い崖

 
 
 
 
 
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ヒューゴ・ドラックスの本名であるフーゴ・フォン・デル・ドラッヒェ伯爵の「ドラッヒェ」はドイツ語で「ドラゴン(竜)」を意味し、フレミングの原作小説のテーマでもある善と悪との対決を表しています。

 

「007/ムーンレイカー」の出版後、フレミングは原作小説の読者からは前2作のような海外が舞台でなかったことが残念だったと数多く手紙が届き、フレミングはこの批判を真摯に受け止め本作以降ボンドは任務のために世界各国を飛び回ることになる。

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」のプロットの着想

 

「007/ムーンレイカー」の悪役には、イギリス国民が1950年代に恐怖を感じる対象だった、ナチス・ドイツ、ソ連、原子爆弾が登場し、裏切り(イギリス人だと思っていたドラックスが実はドイツ人だった)の要素が使われています。

 

作中に登場する超大型原子力ロケット「ムーンレイカー」は、第二次世界大戦中にドイツが開発した弾道ミサイル「V2ロケット」がモデルになっている。

開発中の弾道ミサイル「V2ロケット」

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物、あらすじは?

出典:https://www.jiji.com/jc/d4?p=drn812-1420621107085365&d=d4_mili

 

弾道ミサイル「V2ロケット」については、第二次世界大戦中にフレミングが設立した第30コマンド部隊の活動を継続するために結成された英国陸軍の秘密部隊である「T-フォース」の活動からフレミングは情報を得ていたのではないかと考えられます。

 

ドラックスの誇大妄想症の特徴については、精神科医に取材し誇大妄想症と幼少期の親指しゃぶりとの関係をドラックスのキャラクター造形に取り入れています。

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の作品の特徴

 

「007/ムーンレイカー」は、ボンドが14作品ある原作小説のなかで唯一任務中に出会った女性に振られて終わる作品になっています。

 

最初、映画の脚本として書かれた「007/ムーンレイカー」は後半部分のドラックスが超大型原子力ロケット「ムーンレイカー」でロンドンを破壊しようと計画している物語だけだったが、小説としては短すぎたため前半部分にジェームズ・ボンドの日常や紳士クラブ「ブレイズ・クラブ」でドラックスのカードの“いかさま“をボンドが見破り、ドラックスとの勝負に勝つストーリーが付け加えられてひとつの作品として完成しました。

 

物語に登場する紳士クラブ「ブレイズ・クラブ」は、フレミングが実際に会員になっていた紳士クラブの「ブードルズ」、「ホワイツ」、世界で最も古いカードクラブ「ポートランド・クラブ」から「ブードルズ」と「ポートランド・クラブ」をイメージして書かれたのではないかと考えられています。

 

紳士クラブ「ブードルズ」

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の登場人物、あらすじは?

出典:https://flashbak.com/colour-snapshots-of-london-in-the-1950s-400021/whites-club-st-james-st-w1-march-31-1957/

 

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の映像化作品

 

原作小説「007/ムーンレイカー」は、1973年にイオン・プロダクションが製作したロジャー・ムーア主演の第11作目『007/ムーンレイカー』として公開される。

映画では悪役の名前のヒューゴ・ドラックス卿だけ使用してストーリーはウイルス兵器を使って人類の抹殺を計画するSF映画風の物語に変更、原作小説の超大型原子力ロケット「ムーンレイカー」は当時話題になった「スペースシャトル」に置き換えられています。

原作小説でボンドとガーラ・ブランドがムーンレイカーの発射台の下の部屋に監禁されるエピソードは映画『007/ムーンレイカー』でも使用されました。

『007/ムーンレイカー』のあらすじとキャスト映画『007/ムーンレイカー』のあらすじとキャストは?

 

 

1995年にイオン・プロダクションが製作したピアース・ブロスナン主演の第1作目『007/ゴールデンアイ』のストーリーは原作小説「007/ムーンレイカー」の物語を現代風にアレンジして使用。

『007/ゴールデンアイ』のあらすじとキャスト映画『007/ゴールデンアイ』のあらすじとキャストは?

 

 

 

007原作小説:長編第3作「007/ムーンレイカー」の書籍と電子書籍

 

紙書籍版

007/ムーンレイカー」(創元推理文庫)

訳:井上 一夫

発売日:1964年3月13日 初版

ページ数:306ページ

 

参照:

紙書籍版

007/ムーンレイカー」(創元推理文庫)

発売日:2018年3月9日 61版

訳:井上 一夫

 

 

 

マイク・マールのトリビュートカバー集第3弾

長編第3作「007/ムーンレイカー

**

 

 

 

記事作成日:2022/04/22

最終更新日:2022/04/22

 

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