「007」シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の撮影進行表がオークションに出品されました。その撮影進行表から最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇中での意外な設定が明らかになり話題になっています!その意外な設定とは?
007ジェームズ・ボンドが、”愛娘を溺愛するパパに?!”
イギリス大衆紙のネット版「Daily Mail Online」の記事によると、前作『007/スペクター』(2015)に登場したレア・セドゥ演じるマドレーヌ・スワンとボンドとの間に娘が誕生。ボンドは、5歳になるその娘を溺愛しているという設定のようです。
この情報は、世界最大規模のネットオークションサイトeBayに『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の撮影進行表が150万ポンド(約2億円)で出品されたことによって物語の設定が明らかになりました。
この進行表によると昨年9月にイタリア南部で撮影されたシーンにリサ=ドラ・ソネットという5歳の子役がマチルドという少女役で登場することが書かれていました。
映画関係者のコメント
本当ですよ。ボンドは父親です。ダニエルは、この新作をこれまでで最も驚きやエンターテイメントに満ちた作品にしたかったのです。ダニエルは歳を重ねてきていますし、彼のボンドも成熟してきていますから、父親という視点を通して人生を見ているのです。しかし、それ以上に多くのことが起こりますよ。
引用:https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/james-bond-dad-007-no-time-to-die
また、物語は生物学的なパンデミックからボンドが世界を救おうと奮闘するようで、
映画関係者のコメント
Covid-19ではないですが、似ていますね。とてもタイムリーです。
引用:https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/james-bond-dad-007-no-time-to-die
ボンドファンサイトMI6-HQが、今回オークションに出品されたイタリアでの撮影進行表からわかったことをまとめています。
1.CIAのフェリックス・ライターの同僚ローガン・アッシュ(ビリー・マグヌッセン)は、裏切り者である。
2.シーン#16 南イタリア・プーリア州の天然プール「詩の洞窟」でボンドとマドレーヌが泳ぐシーン。
3.シーン#52 マテーラでのアストンマーティンDB5のカーチェイスシーンでマドレーヌの「誰かが彼女を組み立てようとしている」というセリフ。
4.サフィンの隠れ家は、島にある潜水艦の小さな部屋。
5.9月、イタリアで最後に撮影されたシーンのひとつシーン#235 マラテアポート近くの海岸でノーミとマドレーヌとあともうひとりの人物の3人が撮影されました。3人目のキャラクターの名前はマチルド(Mathilde)で5歳の少女。
2019年4月の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の発表イベントでナオミ・ハリスが、映画は『007/スペクター』の5年後からスタートすると語っています。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が始まりボンドとマドレーヌ・スワンのロマンスが続き、ボンドはヴェスパー・リンドの墓を訪れます。その後、アストンマーティンDB5のカーチェイスが始まります。5年後、マドレーヌはボンドのもとを去り、ジャマイカでのボンドの引退が明らかになります。ボンドはブロフェルドを尋問するために、MI6を訪れるとそこで二人は再会します。
マチルドが出演したシーン。
シーン#201 ボンドが隠れた場所を見つける。(ボンド、マチルド)
シーン#235 ノーミ、マドレーヌとマチルドの3人のシーン。
シーン#243 ノーミ、マドレーヌとマチルドの3人のワイドショット。
シーン#253 マドレーヌ・スワンがマチルドに物語を語るつもりでいる。
マチルドを演じるのは、子役のリサ=ドラ・ソネット( Lisa-Dorah Sonnet)。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の悪役サフィンの陰謀は、
彼が人間のクローンに取り組んでいること、
マドレーヌ・スワンに執着していること(サフィンは、子供の頃のマドレーヌ・スワンを凍った湖から救っている)、
遺伝子戦争です。
マチルドは、サフィンが育てたマドレーヌ・スワンのクローンの可能性があります。
「007」シリーズの脚本家ニール・パーヴィスとロバート・ウェイドは長年、イアン・フレミングの原作小説で未使用の要素を新たに製作する映画の中で使用出来ないか取り組んできました。小説『007は二度死ぬ』でボンドは、最後にキッシー鈴木のもとを去りますが、ボンドが記憶喪失で苦しんでいる間、彼を匿っていた。地元の神主のお告げによるとボンドは生涯のパートナーだと知らされる。ボンドに媚薬を与えてキッシー鈴木はボンドとの間に子供を授かる。彼女はボンドとの結婚を期待し、彼女が妊娠したことをボンドに話す時期を探していた。しかし、ボンドは古い新聞からウラジオストクの記事を発見し、そこに記憶喪失を解くための過去の出来事を求めてロシアへと旅立ってしまう。小説の中では親になれなかったボンドは、ダニエル・クレイグボンドの最終作品でマチルドの親の役割を引き継ぐことで終わるかもしれません。
007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のトリビア
◎キャリー・ジョージ・フクナガ監督は、Slashfilmのインタビューでプロデューサーのバーバラ・ブロッコリが最初に渡してくれた本がイアン・フレミングの小説『007は二度死ぬ』で、原作小説から007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に多くのことを引用していると語っています。また、イアン・フレミングの短編小説『読後焼却すべし(For Your Eyes Only)』のエピソードも参考にしているそうです。
◎007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のロケーションマネージャーのチャーリー・ヘイズが「シネマトゥデイ」のインタビューで、ロケ地候補の初期段階では日本も候補に上がっていたと語りました。脚本が進むうちにストーリーが違う方向に進み日本での撮影の話はなくなりました。
◎007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のプロダクション・デザイナーのマーク・ティルデスリーは、varietyのインタビューで悪役サフィンのアジトは、『007/ドクター・ノオ』や『007は二度死ぬ』でのドクター・ノオやスペクターの秘密基地をデザインしたケン・アダムスへのオマージュだと語りました。建物のスケール感を出して、荘厳なセットにしたかったそうです。フェロー諸島に決まったのは使いやすくアクセスが便利なため。
また、マーク・ティルデスリーはTotal Filmの記事のなかで日本建築家の安藤忠雄からインスピレーションを受けたと語っています。悪役サフィンのアジトのデザインの参考にした建築は瀬戸内海の離島・直島(香川県)にある「地中美術館」だそうです。
参考 地中美術館地中美術館公式サイトQのアパートになった建物は、ロンドンの中心にある古いビクトリア調の家を探しました。Qのキャラクター設定は、ウォータールー駅の近くに住みテムズ川を渡ってオフィスに行くという設定でした。Qは何事にもプロ意識を持っているので彼の家をデザインするときにもそのことを意識しました。
◎007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』なかで東京の西日暮里にある森田畳店の畳が112枚使われました。
田端の何気ない(かなり小さな)畳屋さんにずーっと貼ってあったんだけど、あの衝撃シーンに使われたのかなぁ。
まさかボンドが日本式○○○をっ?!っていう。 pic.twitter.com/MrOZEmcTT2— よもぎとひかり (@ayanono701) October 7, 2021
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007最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』感想
1回目 IMAX(字幕)で鑑賞。
もう最高だった。想像以上に面白かった。
キャリー・ジョージ・フクナガ監督は「bond25」の企画段階から関わっている訳ではなく、ダニー・ボイル監督降板後からの参加なのによくここまでまとめたなあと感心。
撮影が終わって編集したら、最初は3時間近くの作品になって、そこから再編集して2時間46分の作品になったとフクナガ監督は語っているけど、観る前は長いかなと思ったけど、時間を感じることなく終わってしまった。泣いた。
サントラ聞いて、原作小説「007は二度死ぬ」を読んでおいて良かった。
プレタイトルのマドレーヌ・スワンの幼少期から現在のボンドとマドレーヌ・スワンにつながるはじまり方が素晴らしかった。このプレタイトルだけでもう感動してました。ハンス・ジマー作曲の「マテラ」が美しくも哀しい。
(1)「女王陛下の007」からの引用
マテーラに向かう車のなかで、「急いで」と言うマドレーヌにボンドは「時間はまだある(We Have All the Time in the World)」答える。
このセリフは、最後の方でもマドレーヌが「もう少し時間がほしい」と言うとボンドは「まだ時間はあると(We Have All the Time in the World)」と答えていた。
「女王陛下の007」のテーマ曲がかかるのはMとボンドとタナーがテムズ川沿いでナノボットについて話しているシーンで使われていたとやっとわかった。
(2)「007/カジノ・ロワイヤル」からの引用
「007/カジノ・ロワイヤル」の黒い眼帯の男は形を変えて、片目の義眼男「サイクロプス」として登場。
(3)「007は二度死ぬ」からの引用
ブロフェルドを殺してしまうシーンでボンドがブロフェルドの首を絞めて「死ね、ブロフェルド。死ね」と叫ぶのは原作小説「007は二度死ぬ」から引用。原作小説でボンドはブロフェルドの首を絞めてブロフェルドを殺害し、妻トレーシーのかたきを討つ。
原作小説「007は二度死ぬ」でブロフェルドが古城の中に作った毒花が咲き乱れる世にも美しところ“死の庭園”のセットが素晴らしかった。最後、ミサイルを受け入れるために池が開くシーンは映画「007は二度死ぬ」の火山の火口が開くシーンのようだった。そのために池に放してあるピラニアは割愛されていたけど。
マドレーヌとボンドの関係も子供は生まれたけど、結婚した訳ではなく、原作小説「007は二度死ぬ」のヒロインのキッシー鈴木とボンドと同じように妊娠、出産したが、ボンドからのプロポーズはなく結局、恋人のままで別ることになってしまった。
サフィンの隠れ家が日本とロシアに近い島の設定になっているのも原作小説第11作「007は二度死ぬ」ではボンドがウラジオストクに渡るところで小説は終わり、次の原作小説第12作「黄金の銃を持つ男」では、ボンドはロシアで捕まり殺し屋として洗脳されて、英国秘密情報部の上司M暗殺のためにロンドンに再び戻ってくるところから物語は始まるので原作小説通りに次作をつくるなら都合のいい設定になっているなあと感じた。(「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」でサフィンの隠れ家の島が爆破され、ボンドはロシア側に流れ着いたとして物語を始めることができる)
原作小説「007は二度死ぬ」ではボンドが死の城のからくり廊下で罠にかかり地下牢に落下するが、映画ではサフィンが姿を消すためにからくりが使われていたのはびっくり。
原作小説「007は二度死ぬ」では、Mがタイム紙にボンドの死亡記事を掲載するが、映画ではMI6のメンバーでの献杯という形でボンドの死亡を表現していた。
Mの献杯のときの言葉は、原作小説「007は二度死ぬ」のタイム紙の死亡記事にボンドの秘書メアリー・グッドナイトが死亡記事に書いたボンドの墓碑銘の言葉が語られていた。
(4)「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のストーリー展開
ボンドとマドレーヌが、マテーラを訪れるシーンで映画「女王陛下の007」の挿入歌やセリフを使うことで、映画「女王陛下の007」と同じようにマドレーヌが死ぬのかと思わせる。
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サフィンがマドレーヌの診療所を訪れて、飾ってある花を見てこの花から毒薬が作れる話をすることから原作小説「007は二度死ぬ」のエピソードに入っていく。
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ボンドがブロフェルドの首を絞めるシーン、セリフ「死ね、ブロフェルド。死ね」は原作小説「007は二度死ぬ」のエピソードを使って、ここから「女王陛下の007」のようにマドレーヌが死ぬのではなく、ボンドの方が死ぬストーリーへと転換させる。
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サフィンの隠れ家に原作小説「007は二度死ぬ」と同じように毒花が咲き乱れる“死の庭園”がある。
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原作小説「007は二度死ぬ」でMがタイムズ紙にボンドの死亡記事を掲載した代わりにMI6のメンバーの献杯(ボンドの死)へとつながる。
(5)悪役サフィン
ミスター・ホワイトによって母親を目の前で殺されていたサフィンも結局、スペクターの被害者で本作の悪役というよりストーリーをすすめるためのキャラクターといった感じだった。
いつものボンド映画のマッド・サイエンティストは、ヘラクレス計画でナノボットを開発したヴァルド・オブルチェフ(デヴィッド・デンシック)博士の方が悪役を感じた。
プロデューサーのバーバラ・ブロッコリは2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件の影響で、今までのような軽いノリのボンド映画が作れなくなったと語っている。また、映画「007/カジノ・ロワイヤル」が公開された前年の2005年7月7日朝のラッシュ時にはロンドン同時爆破事件が起きている。その影響でボンド役もピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグに代わって、「007/カジノ・ロワイヤル」は原作小説(原作小説「カジノ・ロワイヤル」はハードボイルドタッチ、原作小説のジェームズ・ボンドの年齢は30代半ば)を初めてイオン・プロダクションで映画化、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」では原作小説「007は二度死ぬ」で映像化していなかったエピソード(ブロフェルドの死など)を映像化してダニエル・クレイグボンドの最終章となった。
今までのボンド映画では、歴代のジェームズボンド俳優が1話完結で【ジェームズ・ボンド】を演じてきたが、ダニエル・クレイグのボンドはキャリー・ジョージ・フクナガ監督が9月27日のバーチャルイベントでクレイグボンドは「007/カジノ・ロワイヤル」から「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」で1冊の本のようだと語っていたけど、ダニエル・クレイグは、恋はしても愛することは許されない影しかもたない男(諜報部員)【ジェームズ・ボンドの人生】を見事に演じきったのではないかと思います。
(6)7代目ジェームズ・ボンドと次回作
7代目ジェームズ・ボンド役が決まらないことには次回作は始まらないけど、プロデューサーのバーバラ・ブロッコリの話だと7代目ジェームズ・ボンド探しは来年(2022年:映画「007/ドクター・ノオ」がイギリスで公開されて60周年の記念の年)になってからなので次回作の話はまだ先か。
マチルダの大事なうさぎのぬいぐるみを返してあげたかった・・・。
2回目 4DXSCREEN(字幕)で鑑賞。
日本語吹替版で鑑賞したかったけれど、行こうと思っていた劇場での吹替版は終了。
吹替版は、ブルーレイまでお預け。海外での『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のブルーレイの発売は年末のようだけど、日本はいつ発売になるのだろう・・・。
4DXSCREEN激しかったです!カーチェイスのシーンであんなにシートが揺れるとは思わなかった!後ろからの衝撃はほんとビックリする。
3方画面のマテーラは美しかった。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、今までのスパイ・アクション+恋愛映画なので、「愛はすべてを超えて」は、ボンドの死を暗示するのではなく、素直にラブ・ソングとして聞いた方がいいのかもしれないと感じた。プレタイトルでは、「愛はすべてを超えて」ではなく、ハンス・ジマーの「マテラ」だけど。
マテーラやブロフェルドが収監されている刑務所でボンドにこれからどうすると聞かれ、マドレーヌが「家(ホーム)」と答えるセリフがいつも切なかった。「家(ホーム)」というセリフが耳に残って家に帰るというだけでなく、「家」=家庭を持ちたかったというニュアンスを感じて家に帰ることができなかったボンドとの関係が悲しかった。
記事作成日:2020/06/12
最終更新日:2022/02/09