英国秘密情報部MI6長官Cによる異例の公開演説【『Bond26』のストーリーに影響か?】

英国秘密情報部MI6長官Cによる異例の公開演説【『Bond26』のストーリーに影響か?】

 

11月30日、英国秘密情報部MI6のリチャード・ムーア長官による異例の公開演説が行われました。その内容とは?

英国秘密情報部MI6長官Cによる異例の公開演説

英国シンクタンク国際戦略研究所(IISS)で公開演説を行う英国秘密情報部(MI6)のリチャード・ムーア長官

 

11月30日、英国秘密情報部(MI6)の長官C(リチャード・ムーア)が英国シンクタンク国際戦略研究所(IISS)で異例の公開演説を行いました。

MEMO

国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies、略称:IISS)

1958年、フォード財団の援助によりロンドンに設立された民間の国際的戦略研究機関。理事会、職員および60カ国以上にわたる会員から構成されている。

 

英国秘密情報部MI6長官Cによる異例の公開演説【『Bond26』のストーリーに影響か?】

出典:https://www.english-heritage.org.uk/visit/blue-plaques/mansfield-cumming/

「C」は秘密情報部の初代局長、マンスフィールド・スミス=カミング( Mansfield Smith-Cumming)海軍大佐が書簡の最後に「C」と緑のインクで署名していた。以降、歴代長官も「C」の署名を踏襲。秘密情報部では歴代長官をさす暗号名として使用されてきた。映画「007」シリーズのなかでは、「M」と呼ばれている。

 

スピーチ「Human Intelligence in a Digital Age(デジタル時代のヒューマン・インテリジェンス)」の内容は、機密情報部門の懸念事項、中国、ロシア、イラン、国際テロ組織の脅威を「ビッグ4」と名付けているが、その3つの国とテロ組織の脅威についての説明からスピーチが始まります。

 

1.中国

デジタル空間で無警戒に他国からのアクセスを許すと中国に重要な情報を抜き取られたりするリスクがある。

中国共産党の指導部は、国家安全保障上の理由から、大胆で断固とした行動をとることをますます好むようになっている。鄧小平の「力を隠し、時を待つ」という時代はとっくに終わっています。

中国は米国の対中強硬政策を過小評価している。米中間で偶発的な軍事衝突が起きるリスクも現実のものになりつつある。

中国は国民への監視体制も強化している。

中国の諜報機関は高い能力を持ち、英国や同盟国に対して大規模なスパイ活動を継続的に行っています。

 

2.ロシア

私の父は1960年代にモスクワに赴任しており、私の最初の記憶はロシアのものです。私は、ロシアの歴史や文化、人々に深い敬意を抱いています。

現在のロシアとの難しい関係は、英国が望むものではありません。しかし、国の安全を守り、モスクワがもたらすあらゆる脅威を抑止し、防御するためには、必要なことは何でも行います。

 

3.イラン

イランのような、他に類を見ないほど深い歴史と文化を持つ国が、40年以上にわたって地域内外の不安定要因となっていることを、私たちは非常に残念に思っています。

イランは相当なサイバー能力を構築しており、地域のライバルや欧米諸国に対して利用しているほか、反政権関係者に対しては暗殺プログラムを維持しています。

 

4.国際テロ組織

テクノロジーの普及により、テロリストが計画を隠すことが容易になっています。

イスラム主義組織タリバンによるアフガニスタン制圧は、世界のテロ組織過激派の運動に士気の向上をもたらした。

首相が述べたように、我々の優先事項は、タリバンが支配するアフガニスタンから大規模な国際テロ活動が再び発生するのを阻止し、そこから発生する可能性のあるあらゆる脅威から英国の国土と国民を守ることです。

 

テロ対策の例が示すように、このデジタルの世界では、アナログの情報活動というものはもはや存在しません。

 

英国は、米豪カナダ、ニュージーランドとともに機密情報を共有する五カ国の枠組み「ファイブ・アイズ」の中心メンバーで、9月には米豪との新たな安保協力の枠組みを立ち上げた。

MEMO

ファイブ・アイズ

米英が立ち上げ、1950年代までにカナダオーストラリアニュージーランドが加わった。公式に存在を認めていなかったが、2010年に関連文書の公開によって存在の一端が明らかになった。

ナイン・アイズ計画が登場する第24作『007/スペクター

『007/スペクター』あらすじとキャスト映画『007/スペクター』のあらすじとキャストは?

 

米中央情報局(CIA)も10月上旬、対中専門組織を設けると決定。

米情報関係者によるとCIAは2010年から12年、中国内のスパイ網を摘発され、多くの要員が殺された。

米情報関係者は「今度は、デジタル、ハイテクを駆使し、対中工作を立て直す」と語っている。

 

 

リチャード・ムーア長官の演説に対しての中国の反応は?

中国外務省の副報道局長は1日の記者会見でリチャード・ムーア長官の演説を「中国が大規模なスパイ活動を行ったという説は全くのでたらめ」と強く批判。

 

 

MI6の今後の目標は?

部長としての私の使命は、組織の変革と近代化を成功させることです。

我々の敵は、人工知能、量子コンピューティング、合成生物学の習得に資金と意欲を注いでいます。それは、これらの技術を習得することで自分たちが有利になることを知っているからです。

これは、私が先に述べた「秘密を守るためには、よりオープンにならなければならない」というパラドックスです。

MI6で働くことがこれほど重要で、これほどエキサイティングな時代はないと思います。

 

外部のテクノロジー企業との連携が必要不可欠の時代になった。

 

2018年12月3日にイギリス・スコットランドの母校セントアンドリュース大学で講演したMI6のアレックス・ヤンガー長官もMI6が目指すのは「旧来の情報活動の基本であるヒューミント(HUMINT、Human Intelligence:人間を媒介とした諜報活動)に人工知能(AI)やロボットなどの最新技術を結合させた新たな諜報活動」と語っています。

 

この長官の公開演説は、同盟国と対中政策における連携をさらに進めるための世論対策の側面もある。

 

ボンドが一人で地道に諜報活動をする時代も終わりか。今後はもっと最新テクノロジーを搭載した秘密兵器が活躍する作品になっていくのか!

 

 

参考資料:

スピーチ(「Human Intelligence in a Digital Age」)の全文

参考 C’s speech to the International Institute for Strategic Studiesイギリス政府公式サイト

 

英MI6長官の演説から読み解く『007』次回作のストーリー

参考 英MI6長官の演説から読み解く『007』次回作のストーリーSAKISIRU

 

【新欧州分析】英MI6長官が明かす「新時代の諜報活動とは」

参考 【新欧州分析】英MI6長官が明かす「新時代の諜報活動とは」SankeiBiz

 

2021年12月2日(木曜日)、12月7日(火曜日)付けの日本経済新聞記事

 

 

 

記事作成日:2021/12/27

最終更新日:2021/12/27

 

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