「007」映画シリーズ第13作『007/オクトパシー』のあらすじとキャストなどを徹底解説!
映画『007/オクトパシー』の解説・見どころ
イアン・フレミングの小説「007」シリーズの短編集の中の作品「オクトパシー」の映画化。「007」映画シリーズ第13作目。ロジャー・ムーア版ボンドの出演6作目となる作品。
冷戦下、第三次世界大戦を目論む陰謀にボンドが美女サーカス軍団と一緒に立ち向かう。ピエロに変装するなどロジャー・ムーアの持ち味のユーモアのセンスを存分に発揮した冒険活劇。モード・アダムスが『007/黄金銃を持つ男』に続いて二回目のボンドガールに起用される。
アメリカでは、1980年代の「007」シリーズ最大のヒット作となる。
映画『007/オクトパシー』のあらすじ
映画『007/オクトパシー』予告編
映画『007/オクトパシー』のあらすじ
中南米某国。軍事基地に潜入した英国秘密情報部員のジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、トロ大佐に変装し開発中のレーダーシステムに爆弾を仕掛けて破壊を試みるが、トロ大佐本人に見つかり逆に囚われてしまう。CIA女性アシスタント、ビアンカ(ティナ・ハドソン)の誘惑で敵兵がすきを見せた瞬間に事前に軍事基地に持ち込んでいた超小型ジェット機アクロスターを使い逃走。地対空ミサイルに追尾されるが空中戦の末に、レーダーシステムを破壊するのに失敗した航空機の格納庫にミサイルを引き寄せて格納庫爆破に成功する。
燃料切れで街のガソリンスタンドに着陸し、店主に一言。
ボンド「満タンで」
その頃、東ドイツのベルリンではピエロに扮してサーカス団に潜入していた009が「ファベルジュ・エッグ(貴婦人の卵)」(ロシア皇帝献上品)を持ち出したことが見つかり、サーカス団の双子の投げナイフ芸人に追われていた。双子の一人が投げたナイフが背中に刺さり川に転げ落ちる。009は瀕死の状態でベルリン英国大使館にたどり着き「エッグ」を持ち込むが息絶える。
ロンドンでは、009が手に入れた「ファベルジュ・エッグ」をボンドはM(ロバート・ブラウン)から見せられる。Mの話では、その「エッグ」は偽物であった。本物は、サザビーズのオークションに出品されると美術鑑定人のジム・ファニング(ダグラス・ウィルマー)から知らされる。ボンドはMからオークションに参加して「エッグ」の出品者を探りだすよう指示される。Mらはソ連が出品者でソ連の外貨稼ぎではないかと考えていた。
ソ連の平和と軍縮の会議では、アナトール・ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)が軍縮を提案するなか、オルロフ将軍(スティーブン・バーコフ)が軍縮交渉はソ連の数的優位を弱めるものだと強固に反対していた。そのために戦車部隊を用いて西ヨーロッパに高速侵攻作戦を提案したが、この計画はあまりにも極端すぎるために議長や他のメンバーから却下されてしまう。オルロフ将軍は、クレムリン美術収蔵所から「エッグ」の調査の情報を受けとる。「エッグ」を持ち出したことがばれないようにオルロフ将軍は本物の「エッグ」をオークションで購入するようにカマル・カーンに指令を出す。
サザビーズのオークション会場で、ジム・ファニングはいつも売り専門のアフガニスタンの亡命貴族カマル・カーン(ルイ・ジュールダン)が「エッグ」を買うのに不信感を抱く。ボンドはカマル・カーンを試すためにオークションに参加。出展品を確かめる振りをして本物の「エッグ」を偽物とすり替える。そうとは知らずカマル・カーンは偽物を50万ポンドで競り落として引き上げる。
ボンドは、カマル・カーンを追ってインドのデリーへと向かう。ボンドは現地情報部員のサドルディン(アルバート・モーゼス)と部下のビジャイ(ビジャイ・アムリトラジ)に出迎えられる。
ボンドは、ビジャイからカマル・カーンはホテルのカジノに毎日遊びに来ると話を聞く。ホテルのカジノを訪れたボンドはカマル・カーンとバックギャモンの勝負をする。ボンドは賭け金の担保として「エッグ」(本物)を取り出す。勝負はカマル・カーンが使っていたイカサマ用のサイコロと取り替えてボンドは勝負に勝つ。
殺し屋ゴビンダ(カビール・ベディ)はボンドの後を追いかけるがボンドとビジャイは雑踏のなかで見事に撃退する。
秘密のアジトでボンドはQ(デズモンド・ルウェリン)に頼んで「エッグ」(本物)に盗聴器を兼ねた発信機を取り付けてもらう。発信機の電波を同期出来るか探知機能を備える腕時計で確認し、盗聴ができるイヤホンがついた秘密兵器の万年筆(鉄を溶かす強酸も組み込まれている)を受け取る。
ボンドはホテルのバーでカマル・カーンの愛人マグダ(クリスティナ・ウェイボーン)と出会い、一夜をともにするが、「エッグ」(本物)を盗まれてしまう。その直後、部屋でボンドは殺し屋ゴビンダに襲われる。気がついたときには、山の頂きにあるカマル・カーンのモンスーン宮殿に閉じ込められていた。ボンドは閉じ込められている部屋から秘密兵器の万年筆を使い鉄格子を溶かして脱出し、カマル・カーンがオルロフ将軍と密談している現場を盗聴する。オルロフ将軍は「エッグ」(本物)を受け取り、カマル・カーンはオルロフ将軍から宝石を受け取る。彼らは東ドイツのカール・マルクス=シュタットで1週間後に再会することを約束していた。
ボンドは、カマル・カーンのモンスーン宮殿を抜け出すが、カマル・カーンは手下とともにボンドの後を追う。ボンドはジャングルのなかを迷いながらも逃げ切ることに成功する。
ボンドは、カマル・カーンの愛人マグダの背中に掘られていたタコの入れ墨から”オクトパシー”という女の存在を知る。彼女はカマル・カーンのパートナーであり、オクトパシー・サーカス団を隠れ蓑とした宝石泥棒の一味のリーダーだった。ボンドは、オクトパシーが住んでいる水上宮殿に潜入を試みる。
ボンドは、女主人のオクトパシー(モード・アダムス)に出会う。自分の父親はスマイス少佐で、20年前に公金を横領しボンドが逮捕したが、本国へ送還する前夜に自殺した情報部員だったとボンドに話す。また、父親はタコの研究家でもあった。父親の死後、彼女は宝石の密輸の仕事を教えられ、一味のリーダーとなった。ボンドはカマル・カーンの雇った殺し屋の襲撃を受ける。ボンドは敵を倒してベルリンへ向かう。
東ドイツのカール・マルクス=シュタットの米軍基地では、オクトパシー・サーカス団が興行していた。カマル・カーン、オクトパシーは「エッグ」(本物)の報酬としてオルロフ将軍から受け取ったクレムリンの宝石「ロマノフの星」を含めた宝石(3億ドル相当)を、サーカス団を隠れ蓑にして国境を超えようと画策していた。しかし、オルロフ将軍とカマル・カーンの本当の計画はカール・マルクス=シュタットの米軍基地で核弾頭を爆発させ、核弾頭の爆発を米国の事故に見せかけようとした爆弾テロであった。核弾頭はサーカス団のショーで使われる人間大砲の台座に隠されていた宝石と交換して運びこもうとしていた。アメリカの威信が失墜し、反核運動が盛んになれば、ソ連は軍事的に有利になるとオルコフ将軍は考え計画をすすめていた。
ボンドは、宝石と核弾頭を交換していた投げナイフ芸人(兄)を倒して「ロマノフの星」を回収。核弾頭に交換された人間大砲の台座を載せた列車は米軍基地へ向けて出発する。爆破を阻止しようとするボンドとボンドの後を追うオルロフ将軍。「ロマノフの星」を盗み出したことを知ったゴーゴル将軍はオルロフ将軍の居場所を聞き出し後を追う。核弾頭を載せた列車を追いかけるオルロフ将軍はソ連兵に銃撃される。オルロフ将軍に追いついたゴーゴル将軍は「コソ泥め」と吐き捨てると「明日になれば、ソビエト連邦の英雄だ」とつぶやきながらオルコフ将軍は絶命する。
核弾頭の起爆装置は、3時45分に爆発するようにセットされる。列車に隠れているところを見つかったボンドは、殺し屋ゴビンダと投げナイフ芸人(弟)に襲われて、投げナイフ芸人(弟)と列車から転がり落ちてしまう。追いかけてくる投げナイフ芸人(弟)を森のなかの小屋で「009の仇」だと投げナイフで倒す。時間の迫るなかボンドは、カール・マルクス=シュタットの米軍基地に突入し、大砲の台座に隠された核弾頭の起爆装置を解除するのに成功する。
カマル・カーンに裏切られたことを悟ったオクトパシーは、カーンの愛人マグダにカーンはどこへ行ったのかと尋ねると彼はひと足早くインドへ逃げ帰ったと知らされる。オクトパシーはカマル・カーンを追ってデリーへ向かう。
オクトパシーは、配下のオクトパシー・ガールズとともにカマル・カーンの宮殿を襲撃し、カーンの部下を鎮圧する。ボンドはQとともに熱気球でカマル・カーンのモンスーン宮殿に到着する。カマル・カーンはオクトパシーを人質にして軽飛行機で逃走。ボンドは馬に乗りカマル・カーンの後を追う。馬から飛び立つ軽飛行機に飛びつくボンド。軽飛行機上で殺し屋ゴビンダと格闘し、ボンドはゴビンダを倒す。ボンドは、軽飛行機を操縦不能にし、崖から落下寸前にオクトパシーを機内から救出し、カマル・カーンを乗せたまま軽飛行機は崖に激突しカーンを倒すのであった。
ゴーゴル将軍は今回の事件のことは否定するが、「ロマノフの星」の返却を求めた。Mはボンドは現在、重傷のため絶対安静の状態であると答える。
その頃、ボンドは手足にギプスをはめてオクトパシーとともにカマル・カーンのラブ・ボートの寝室にいた。
オクトパシー「残念、あなたが動けなくて・・・」
その言葉を聞くとボンドはギプスから手足を軽やかに引き抜いて、オクトパシーを抱きしめて口づけを交わすのであった。
映画『007/オクトパシー』作品情報(スタッフ・キャスト)
原題:Octopussy
製作年:1983年
製作国:イギリス/アメリカ合衆国
製作会社:
イオン・プロダクション
ユナイテッド・アーティスツ
配給:MGM/UA UIP
日本公開日:1983年7月2日(土)
上映時間:130分
【 スタッフ 】
製作:アルバート・R・ブロッコリ
【ボンド映画製作13作目】
「007」シリーズを成功に導いたプロデューサー、アルバート・”カビー”・ブロッコリの生涯製作総指揮:マイケル・G・ウィルソン
監督:ジョン・グレン
原作:イアン・フレミング「オクトパシー」
脚本:
ジョージ・マクドナルド・フレーザー
リチャード・メイボーム
マイケル・G・ウィルソン
音楽:ジョン・バリー
テーマ曲:モンティ・ノーマン「ジェームズ・ボンドのテーマ」
主題歌:リタ・クーリッジ「All Time High」
撮影:アラン・ヒューム
編集:ジョン・グローヴァー
プロダクション・デザイン:ピーター・ラモント
特殊効果:ジョン・リチャードソン
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
【 キャスト 】
ロジャー・ムーア:ジェームズ・ボンド
任務遂行中の殺人が認められているイギリス政府公認の殺人許可書”殺しのライセンス”を持つイギリス情報局秘密情報部(MI6)00課に所属するエージェント。コードネームは”007”。普段は、MI6のダミー会社であるユニバーサル貿易の社員。
【3代目ジェームズ・ボンド】ロジャー・ムーアのプロフィールやキャリアは?
ルイ・ジュールダン:カマル・カーン
本作の悪役。投資の世界では、その名を知られたアフガニスタンの亡命貴族。好戦的なソ連の将軍を利用して米軍基地で核弾頭テロを起こそうと画策する。趣味は虎狩り。
モード・アダムス:オクトパシー
サーカスとしても活動する女性窃盗密輸団のリーダー。カマル・カーンの宝石密輸計画の片棒を担ぐが、カマル・カーンに裏切られ、危機一髪のところをボンドに救われる。核弾頭テロを阻止しようとするボンドと復讐を果たすために協力するようになる。
スティーブン・バーコフ:オルロフ将軍
核軍縮に反対するタカ派の軍人。米軍基地での核弾頭テロを画策し、ソ連の軍事拡大を計画。
クリスティナ・ウェイボーン:マグダ
カマル・カーンの愛人。
デヴィッド・マイヤー:ミーシカ
双子の投げナイフ芸人。
アンソニー・マイヤー:グリーシカ
双子の投げナイフ芸人。
カビール・ベディ:ゴビンダ
カマル・カーンの手下の殺し屋。
アルバート・モーゼス:サドルディン
インド・デリーの現地情報部員。
ビジャイ・アムリトラジ:ビジャイ
インド・デリーの現地情報部員。サドルディンの部下。
ウォルター・ゴテル:アナトール・ゴーゴル将軍
ソ連のKGB長官。
ジェフリー・キーン:フレデリック・グレイ
国防大臣。
ダグラス・ウィルマー:ジム・ファニング
美術鑑定人。
ティナ・ハドソン:ビアンカ
CIAの女性アシスタント。
ロバート・ブラウン:M
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長。
デズモンド・ルウェリン:Q
イギリス情報局秘密情報部特務装備開発課(Q課)の責任者。QはQuartermaster(需品担当将校)の略称。彼の発明品をすぐに壊すボンドに少し呆れている。
ロイス・マクスウェル:ミス・マネーペニー
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長Mの秘書。
映画『007/オクトパシー』トリビア
◎同じ年に公開された”ワーナーブラザーズ”のジェームズ・ボンド・プロダクション『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)は、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役への復帰したことが紹介されました。この『007/オクトパシー』は世界中で1億8700万ドルを稼ぎ、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)は1億6000万ドルに留まりました。
◎オクトパシー役のオファーを受けていたバーバラ・カレラは、ショーン・コネリーと共演したかったため『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)に出演するためにオクトパシーの役を辞退しました。
◎エンドクレジットの間に次のボンド映画の名前を紹介するのが恒例になっているボンド映画、次回作「From A View To A Kill」は後にタイトルから「from」が削除されました。
◎キャスティングに関してジェームズ・ブローリンは、ジェームズ・ボンド役をオファーされました、結局、ロジャー・ムーアは再びボンドを演じることに同意しました。ジェームズ・ブローリンのスクリーンテストはDVDで見ることができます。ムーアは『007/ムーンレイカー』(1979)の後で契約を終了し、『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)でもう一度ボンドを演じることに同意していました。『007/オクトパシー』は、元ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリー主演の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)と競合するため、ムーアをボンド役に製作されました。ボンド役にアメリカ人俳優を使用すること、新しい俳優を紹介しなければならないこと、コネリーのボンド役に対して不確実性が理由でした。その間、オリバー・トビアス、マイケル・ビリントン、ティモシー・ダルトン、およびイアン・オギルビーもジェームズ・ボンド役の候補とされていました。
◎オクトパシーの父親デクスター・スマイス少佐が金の横領と山案内人の殺人が発見されて、ジェームズ・ボンドによって捕まるのではなく、自殺することを許されたというエピソードは、イアン・フレミングのオリジナルの短編小説「オクトパシー」からの引用です。サザビーズのオークション・シーンは、イアン・フレミングの短編小説「所有者はある女性」から来ています。009が東ドイツを脱出しようとしているシーンは、フレミングの短編小説「リビング・デイライツ」のエピソードです。バックギャモンでボンドに負けた悪役カマル・カーンの捨て台詞は、原作小説「007/ムーンレイカー」からの引用(「私だったらその金は早く使っちまうね、ボンド中佐」)。
◎この映画『007/オクトパシー』は、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)の4カ月前に公開されました。同じ年に2つのジェームズ・ボンド映画が公開されたのはこれが2回目です。一度目は『カジノロワイヤル』(1967)と『007は二度死ぬ』(1967)の時に起きました。
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記事作成日:2020/07/09
最終更新日:2022/04/27