「007」映画シリーズ第5作『007は二度死ぬ』のあらすじとキャストを徹底解説!
映画『007は二度死ぬ』の解説・見どころ
イアン・フレミングの小説「007」シリーズ長編第11作の映画化で、「007」映画シリーズの第5作。小説は、イアン・フレミングの生前に出版された最後の作品。
ストーリーは、原作小説と映画では異なるが、日本を舞台にボンドとスペクターが死闘を繰り広げて大ヒットを記録。スペクターの秘密基地に潜入するためにボンドは死亡を偽装。なんと日本人に化ける。忍者部隊の空手訓練場面は大山倍達が指導。日本でもさらにボンド映画の人気が高まった。
ボンドガールには日本の女優、若林映子と浜美枝が選ばれ、丹波哲郎ら日本人のキャストも活躍。1964年の東京オリンピック開催直後の高度経済成長期の東京や姫路城など当時の日本各地の観光名所の風景が見もの。
これまでの作品の中で顔が映ることのなかったスペクターの首領ブロフェルドが初めてその姿を現す。巨匠デビッド・リーンの名作を手掛けた撮影監督フレディ・ヤングの火山の火口にある広大な秘密基地の映像や東京や日本各地の風景の映像美も必見。
作品自体は大ヒットしたが、主演のショーン・コネリーとプロデューサーとの関係は悪化し、ショーン・コネリーは、ボンド映画からの降板を発表し、次作『女王陛下の007』では2代目ジェームズ・ボンドとしてジョージ・レーゼンビーが登場。
映画『007は二度死ぬ』のあらすじ
映画『007は二度死ぬ』予告編
映画『007は二度死ぬ』のあらすじ
2人の宇宙飛行士が操縦するアメリカの宇宙カプセル、ジュピター16号は地球上を周回していた。ハワイとヒューストンの基地との無線連絡を交信しながら、宇宙飛行士の1人が定期的に修理を行うために船外に出ます。そこへ突如、未確認飛行物体がジュピター16号に接近。その未確認飛行物体の先端部分が開いてジュピター16号を飲み込みこんでしまう。その過程で無線通信が途切れて、船外活動をしていた宇宙飛行士のライフラインが切断され、彼は宇宙空間に放り出されてしまう。
アメリカの宇宙カプセル、ジュピター16号が行方不明になった事件で、イギリスの秘密情報部のメンバーが仲介役としてアメリカとソビエトの軍関係者の間で事件の原因について議論が続いていた。米国は、宇宙カプセル・ジュピター16号の事件はロシアのしわざであると考えていた。アメリカは、3週間後に別の宇宙カプセルを打ち上げる予定で、船への干渉があった場合は戦争行為と見なし、宇宙カプセル自体が攻撃された場合はロシアに軍事攻撃を開始すると宣言する。しかしイギリスの秘密情報部のメンバーは、シンガポール支局からの情報に基づいて日本海周辺に上陸した正体不明の船の存在の情報を掴み、事件解決のために捜査を開始していた。
その頃、香港ではイギリス秘密情報部MI6エージェントのジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が中国人女性とのロマンチックな出会いを楽しんでいた。彼女はベッドを離れて、ベッドを壁に収納するためのボタンを押すとボンドはベッドとともに壁に収納されてしまう。突如2人の殺し屋が機関銃を持って部屋に飛び込んできて、壁に収納されたベッドに向かって機関銃を乱射。通報を受けて地元警察が到着すると、中国人女性の姿はなくボンドがベッドで死んでいるのが発見される。
ボンドの死(「英国海軍中佐、殺される」)についてのニュースが報道され、英国海軍によって水葬が執り行われる。ボンドの棺が海底にぶつかるとすぐに、英国海軍の原子力潜水艦によって回収され艦内に持ち込まれ棺が開けられると、元気なボンドが姿を見せる。香港での暗殺は、敵をだましてボンドが死亡したと信じ込ませ、彼の任務を気付かれずに遂行するための策略だった。ボンドはすぐに上司のM(バーナード・リー)から今回の事件についての内容を聞かされ、期限は3週間しかなくすぐに日本に向かい日本のSISのメンバーと会うように命じられる。ミス・マネーペニー(ロイス・マクスウェル)から日本の諜報部員との合言葉は「アイ・ラブ・ユー」であると教わり、復唱するように彼女に迫られる。
日本に上陸したボンドはひそかに東京に向かう。ボンドは日本のSISのメンバーの一人、アキ(若林映子)という名の美しい女性によって日本に住んでいるイギリスの諜報機関職員であるヘンダーソン(チャールズ・グレイ)の家に連れて行かれます。ヘンダーソンは、第三の大国が規模の大きな多国籍企業である大里化学工業を利用して、日本から宇宙船を打ち上げ、米国とロシアの宇宙船を攻撃し、2つの超大国間の第三次世界大戦を引き起こそうとしていると結論づけました。しかし、ヘンダーソンはさらに大里化学工業について明らかにする前に何者かによって背後から刺され殺害される。ボンドはヘンダーソンを殺害した殺し屋を倒して、殺し屋を運んできた車に負傷を装い乗り込む。大里化学工業の本社に車の運転手によって運び込まれます。ボンドはその体の大きな運転手と乱闘になり彼を倒して、警備員によって追跡される前に書類やネガフィルムが隠された金庫を見つけて、書類を持ち出す。ボンドは警備員に追われているところをアキに助けられる。
ボンドはアキに助けられたが、今では彼女に不信感を抱いていた。アキが地下鉄の入り口近くで車を止めると、ボンドは彼女を追う。彼女を追ううちに日本のSISの責任者であり、東京で最もその存在が秘密にされている役人であるタイガー田中(丹波哲郎)が仕掛けた「罠」に陥り、やっと彼と出会うことができた。
タイガー田中「母に言われた諺がある。知らない女の車には乗るなと。ウェルカム・トゥ・トウキョウ」
田中とは秘密の合言葉でお互いを確認した後、ボンドは彼に大里の金庫にあった書類を調べてもらうよう頼んだ。その書類は輸入品目を記した書類でした。書類に書かれていたLOX(ロックス)とは、ロケット燃料のための液体酸素の技術的な省略表現であり、それはスモークサーモンの名前でもあり、完璧な秘密の書類だった。フィルムのネガはスーパータンカーのニンポー号のもので、大里化学工業で働いている人によって殺されたアメリカ人観光客の写真でした。写真は船だけでなく漁船の小さな船も写しており、場所は上海に向かう途中の外島であることがわかりました。ボンドは、国際犯罪組織「スペクター(SPECTER)」が、他の外国勢力への陰謀の足がかりとして民間組織を利用してきた彼らの手口を考えると、宇宙船ハイジャックの役割を大里化学工業が果たしていると推測した。
ボンドは田中の家で一夜を過ごし、そこで「非常にセクシーな」若い女性たちからの歓待を受け、リラックスできるマッサージを受けるという形で日本のエキゾチックなおもてなしの夜を過ごすことになる。ボンドのマッサージは、彼と恋に落ちたセクシーな服装のアキに引き継がれました。
翌日、ボンドは、ビジネスマンのジム・フィッシャーと名乗り大里(島田テル)氏と面会し、重要な化学物質の大量購入について社長の大里と交渉します。大里は拳銃を所持したボンドをひそかにX線撮影していました。ボンドは大里の秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)からシャンパンのドン・ペリニヨンを勧められる。ヘルガ・ブラントは単なる社長秘書ではなかった。大里はボンドを殺すようにヘルガに命じました。ボンドは大里化学工業からの帰りに大里の殺し屋に襲われる。
ボンドはアキの運転する車で大里の殺し屋たちから逃げるが、アキは上司の田中に応援を要請する。すると巨大な磁石を備えた輸送ヘリコプターが駆けつけて大里の殺し屋たちが乗る車を磁石で吊るして海に投棄し、ヘリコプターは去っていた。
田中は、ボンドにニンポー号が神戸に到着したと報告し、彼とアキは急いで神戸に向かった。ボンドは、田中にロンドンのMに連絡して「リトル・ネリー」と彼女の父親(Q)を派遣するよう要請します。ボンドとアキは神戸に到着した後、液体酸素のタンクを見つけるが、2人は港湾労働者の一団に襲われる。ボンドはアキを脱出させるために彼らを撃退し、ボンド自身は待ち伏せされた敵によって背後から殴られ意識を失う。
気がつくとボンドは、ニンポー号のヘルガの部屋の椅子に縛られていた。そこで彼女はドックの周りを探索するボンドに尋問し、形成外科医の器具で彼を拷問すると脅します。ボンドはジム・フィッシャーと名乗ったのは産業スパイのためであると認め、助けてくれれば報酬の半分を渡すと彼女を買収しようとする。ヘルガはボンドの男らしさに興奮し口づけを交わし、一夜をともにします。翌日、彼女はボンドを私用飛行機に乗せて飛び立ち、彼を閉じ込めたまま彼女はパラシュートで脱出します。
ボンドはなんとか脱出し、操縦不能な飛行機を着陸させ、爆発する前に脱出しました。
田中の家に戻ると、ボンドは2枚のニンポー号の写真を渡され、2枚の写真を見比べた結果、船が外島に立ち寄り大量の備品を降ろしたと推測した。ボンドら3人組は、日本に到着したQ(デズモンド・ルウェリン)に出会い、リトル・ネリーはQの専門チームによって組み立てられます。ボンドは、さまざまな強力な武器を装備したリトル・ネリーに乗って、上空からその地域の島々の調査に飛び立ちます。
しばらくすると4機のヘリコプターがボンドに攻撃を仕掛けてきます。ボンドは、リトル・ネリーに装備された武器で次々と4機のヘリコプターを撃ち落としていった。ボンドは、スペクターが関与していることは疑いの余地がないことを知らされます。
その頃、予定されていたロシアの宇宙船の打ち上げが開始された。無事に打ち上げに成功したロシアの宇宙船だったが、アメリカのジュピター16号と同じように未確認飛行物体によって回収されてしまう。その後、未確認飛行物体は日本の火山にある基地に無事着陸する。ロシアは宇宙船を盗んだことでアメリカに腹を立てていた。
スペクターの宇宙カプセル回収ロケット「バード1号」が火口のロケット秘密基地に帰還した後、大里とヘルガ・ブラントの二人はスペクターの「No.1」であるブロフェルド(ドナルド・プレザンス)の部屋に呼ばれる。ブロフェルドは、今回の事件の依頼主である某国の政府関係者と面会していた。作戦が計画通りに進み某国の首脳は満足していると報告を受け、ブロフェルドは1億ポンド相当の金の延べ棒をブエノスアイレスの自分の口座に収めて欲しいと要求する。某国の政府関係者は計画が無事に終わってからの契約ではなかったかと会談は破断に終わる。ブロフェルドのボディーガード、ハンス(ロナルド・リッチ)が彼らにピラニアの池を示すと2人は沈黙してしまう。ブロフェルドがX線によって写し出されたボンドのワルサーPPKを大里とブラント見せ、2人がボンド暗殺に失敗したことに対して失望したと告げる。2人ともお互いに失敗を非難する。ブロフェルドは、ブラントに去るように命じ、彼女が橋を渡ると橋が突然開いてピラニアの池に落ちてしまい、彼女は生きたままピラニアに食べられてしまう。ブロフェルドは大里にボンドを今すぐ殺せと命じた。
ボンドは、田中に忍者(特殊部隊)の訓練キャンプがある姫路城を案内される。田中はまた、彼の現代兵器研究所とハイテクロケット銃の威力と使い方を説明した。田中がボンドに紹介したアイテムは、タバコの中に小さなロケットが仕込まれた兵器だった。田中の計画では、田中配下の特殊部隊は、ニンポー号が最後に到着した島の漁村に潜入。ボンド自身は日本人男性に変装し、田中配下の特殊部隊と一緒に武術の訓練を受けます。ボンドは妻を娶り地元の漁師として島最大の村に潜入。偽装結婚する相手はアキではなかった。ボンドは日本人に変装する手順の説明を受けた後、ボンドとアキは一夜をともに過ごします。彼らが眠っている間、殺し屋が寝室の上の垂木に忍び込み、糸の端をターゲットであるボンドの口元へ降ろします。殺し屋は強力な毒を糸に垂らします。しかし、ボンドは寝返りをうちアキも同時に移動し、毒が彼女の口に滴り落ちます。彼女が突然苦しみだして死ぬと、ボンドは目を覚まして殺し屋を射殺。田中が慌ててやって来て、ボンドは彼にアキが死んだことを説明。ボンドは事件を調査することはこれまで以上に緊急であると説明するが、田中は彼にさらに数日の訓練が必要であるとボンドに伝える。翌日、ボンドは武術の訓練中に、武器に隠されたナイフで殺し屋に殺されかけた。ボンドは反撃し男を殺し、田中は彼は自分の部下の一人ではないと説明した。
翌日、ボンドは漁村でキッシー鈴木(浜美枝)という名の若くて美しい女性と結婚した。
二人は漁村の小さな家に落ち着く。ボンドはハネムーン中なので一緒に寝ようと誘うがキッシーは、これは仕事だからとボンドの提案を拒否する。2人はまた、海岸沿いの近くの竜崎という名の洞窟を探索していたキッシーの友達の葬式が行われていることに気づきました。少女のボートが洞窟で発見されたとき、彼女は不思議なことに死んでいました。
早朝、田中はボンドにアメリカがロシアへの最後の警告として今日アメリカは次の宇宙船の打ち上げ計画を予定していると伝えに来ます。ボンドは竜崎という名の洞窟に興味を持ちます。翌朝、彼とキッシーはボートで洞窟の探検に向かいます。彼らがそこに入ると、ボンドは毒ガスであるホスゲンが放出されたことにすぐに気づきます。彼らはボートの側面を飛び越えて海に飛び込みます。海岸に上った後、彼らは洞窟が霧島山の火口に繋がっていると推測し、頂上まで探索に生きます。彼らはヘリコプターが火山の火口に飛んでいくのを発見するが、ヘリコプターはその後消えてしまう。ボンドは火山の火口付近の綿密な調査すると、クレーターの湖の表面は実際には巨大な金属カバーであることが明らかになる。火口が開くと、アメリカとロシアの宇宙船を飲み込んだスペクターの回収用ロケット「バード1号」が打ち上げ準備された秘密基地がそこに存在した。ボンドはキッシーを田中に報告させるために送り返し、ボンド自身は秘密基地に忍び込みます。
ボンドは火山の秘密基地に忍び込み、捕虜にされている行方不明のアメリカとロシアの宇宙飛行士を発見します。彼らは数人の警備員を倒して、次の回収用ロケット「バード1号」に搭乗する予定の宇宙飛行士を投獄し、ボンドは、次の捕獲を妨害するために宇宙飛行士になりすます。しかし、ボンドがロケットに乗り込もうとした最後の瞬間にブロフェルドの命令(誤って装置を持ち込もうとしているのを不審に思い)で止められ、火山の秘密基地の制御室に連れて行かれました。そこでボンドは、国際犯罪組織「スペクター」の首領であるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(ドナルド・プレザンス)に初めて出会います。
ブロフェルド「君は香港で死んだはずではなかったのか?」
ボンド「二度目の人生さ」
ブロフェルド「では、また死んでもらおう」
ボンドの私物は没収され、ブロフェルドは彼の計画を明らかにした。アメリカとロシアの両方の宇宙船を捕獲し、2つの大国の間に核戦争を引き起こし、アメリカとロシアは世界の舞台から排除される。そこに新たな支配者が現れ、某国(中国)が世界を支配することになるだろう。
ボンドはブロフェルドの回収用ロケット「バード1号」の発射を阻止することは出来なかった。回収用ロケット「バード1号」はアメリカを戦争に巻き込むためにロシアの宇宙船のデザインが施されていた。
田中の特殊部隊が火口に到着するが、発見され歩哨銃によって銃撃を受ける。その頃、制御室にいるボンドは、モニターで田中の特殊部隊が火口に到着したのを確認する。ボンドはタバコを吸ってもいいかブロフェルドに確認し、タバコを吸うふりをして田中からもらった武器の1つであるタバコをこっそり使用した。彼はブロフェルドの部下の1人をタバコのミニチュアロケットで殺し、メインの火口のハッチを開けて、田中の特殊部隊が基地内に降下して襲撃できるように援護します。
田中の特殊部隊とスペクターの部下たちとの激しい戦闘が開始される。ボンドと田中の特殊部隊は最終的に戦闘で優位に立つ。ボンドはブロフェルドのプライベートルームから制御室への道を見つけます。そこで、ボンドはブロフェルドのボディーガードであるハンスと戦い、彼をピラニアの池に投げ込んで倒します。ハンスが持っていた回収用ロケット「バード1号」の自爆スイッチの鍵を奪いボンドは制御室に到着し、「バード1号」の自爆スイッチを押してアメリカの宇宙船が回収される寸前で「バード1号」を爆発させることに成功。ブロフェルド自身が大里を殺した後に火山の秘密基地を爆破させる自己破壊装置のスイッチを押して脱出。火山の秘密基地は大爆発し、ボンド、キッシー、タイガーそして特殊部隊は洞窟に飛び込み海へと脱出した。
ボンドとキッシーは、英国空軍が投下していった救命ボートに乗り込みます。
ボンド「ハネムーンの続きをしてもいいか」
キッシー「日本に残れないでしょ」
ボンド「見つからないようにするさ」
彼らがキスしていると、救命ボートの真下に英国の原子力潜水艦が浮上。艦内では、Mがミス・マネーペニーにボンド中佐にすぐ出頭するようにと命じるのであった。
映画『007は二度死ぬ』作品情報(スタッフ・キャスト)
原題:You Only Live Twice
製作年:1967年
製作国:イギリス/アメリカ合衆国
製作会社:イオン・プロダクション
配給:ユナイテッド・アーティスツ
日本公開日:1967年6月17日(土)
上映時間:117分
【 スタッフ 】
製作:
ハリー・サルツマン
【ボンド映画製作5作目】
芸術を愛した「007」シリーズのプロデューサー、ハリー・サルツマンの生涯アルバート・R・ブロッコリ
【ボンド映画製作5作目】
「007」シリーズを成功に導いたプロデューサー、アルバート・”カビー”・ブロッコリの生涯監督:ルイス・ギルバート
原作:イアン・フレミング「007は二度死ぬ」
脚本:ロアルド・ダール
音楽:ジョン・バリー
テーマ曲:モンティ・ノーマン「ジェームズ・ボンドのテーマ」
主題歌:ナンシー・シナトラ「You Only Live Twice」
映画『007は二度死ぬ』のテーマ曲、主題歌は?撮影:フレディ・ヤング
編集:ピーター・ハント
プロダクション・デザイン:ケン・アダム
美術:ハリー・ポットル
特殊効果:ジョン・スティアーズ
視覚効果:ロイ・フィールド
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
【 キャスト 】
ショーン・コネリー:ジェームズ・ボンド
任務遂行中の殺人が認められているイギリス政府公認の殺人許可書”殺しのライセンス”を持つイギリス情報局秘密情報部(MI6)00課に所属するエージェント。コードネームは”007”。普段は、MI6のダミー会社であるユニバーサル貿易の社員。
【初代ジェームズ・ボンド】ショーン・コネリーのプロフィールやキャリアは?
浜美枝:キッシー鈴木
日本の諜報機関に籍を置く冒険好きの海女。敵の目を欺くために日本人に扮したボンドと偽装結婚。スペクター基地では上司のタイガー田中の危機を救う。
ドナルド・プレザンス:エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド
本作の悪役。国際犯罪組織「スペクター」の首領。表に出てくることはほぼなく、ル・シッフルやシルヴァなどの犯罪者を裏で操り、ボンドを苦しめてきた悪の天才。
丹波哲郎:タイガー田中
日本の公安調査局もその存在を知らない秘密情報部の責任者。
若林映子:アキ
日本の諜報部員。トヨタ2000GTを乗り回してボンドとともに殺し屋一味を追いかけたり、ボンドの変装を手伝ったりと献身的にサポート。ボンドを殺そうとした毒薬で死亡。
カリン・ドール:ヘルガ・ブラント
大里化学工業の社長大里の秘書だが、実はスペクターのエージェント(No.11)。事件の調査に現れたボンドを誘惑して殺そうとするが失敗に終わる。ブロフェルドに失敗の責任を取らされてピラニアの池に落とされ死亡。
島田テル:大里
大里化学工業の社長にしてスペクターの日本人幹部。ブロフェルドの指示に従って火山内部にロケット基地を建造。米ソ両国に第三次世界大戦を起こそうと画策。
チャールズ・グレイ:ヘンダーソン
日本に住んで28年になるイギリスの諜報機関職員。
ロナルド・リッチ:ハンス
霧島山火口基地でのブロフェルドのボディーガード。ブロフェルドから基地から打ち上げられるロケットの自爆スイッチの鍵を渡される。ボンドとの格闘でピラニアの池に落ちて死亡。
バーナード・リー:M
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長。
デズモンド・ルウェリン:Q
イギリス情報局秘密情報部特務装備開発課(Q課)の責任者。QはQuartermaster(需品担当将校)の略称。彼の発明品をすぐに壊すボンドに少し呆れている。
ロイス・マクスウェル:ミス・マネーペニー
イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長Mの秘書。
映画『007は二度死ぬ』トリビア
◎霧島山火口の秘密基地セットの費用は、『007 /ドクター・ノオ』(1962)の予算全体とほぼ同額でした。セットはとても大きかったので、3マイル(約4キロ)離れたところからやっと見渡すことができました。
◎ショーン・コネリーとプロデューサーの関係は悪化してきて、彼らが衝突した場合、コネリーは演技するのを拒否しました。
◎『007は二度死ぬ』は、ジェームズ・ボンドが自らボンドカーを運転しない、唯一のイーオン・プロダクションズ製作のボンド映画です。
◎日本にいる間、ショーン・コネリーと彼の妻のダイアン・シレントは国際的なマスコミに追いかけられました。記者会見の間、マスコミはコネリーのことをジェームズ・ボンドと呼ぶことに固執した。地元の報道関係者がトイレで彼を撮影しようとしたこともありました。余分な騒音と障害に対処するために30人の追加の民間警備員が雇われましたが、警備員でさえ写真を撮り始めました。コネリーはトイレで写真を撮られたと伝えられており、その写真は東京新聞に掲載された。撮影の途中で、コネリーはジェームズ・ボンドとして復帰しないことを発表しました。緊張を和らげるために、プロデューサーは彼に100万ドルを提供したにもかかわらず、もう1作のボンド映画に出演するという契約上の義務を拒否しました。この映画の撮影が終わった後、コネリーは日本人の女性が魅力的であるかどうか尋ねられたが、彼はそれに対して「ノー」と答えたため、多くの日本人が彼の悪口を言ったと伝えられています。この誤報は、集中的な撮影が終わった後にコネリーが疲れていたための誤訳だったことがわかりました。コネリーは、マスコミとのインタビューでわざとだぶだぶのズボンとサンダルを履きカジュアルなTシャツ姿で登場し、かつらもつけず風采の良い姿をしていなかった。「それがジェームズ・ボンドの服装ですか?」「私はジェームズ・ボンドではない、私は快適な服装が好きな男、ショーン・コネリーだ」と彼は答えた。
◎脚本家のロアルド・ダールは、映画『007は二度死ぬ』が彼の映画化された作品の中で唯一の気に入った作品だと語った。
◎伝えられるところによると、火山の秘密基地セットでのグランドフィナーレの撮影中に発生した爆発音があまりにも大きかったので、ブロフェルドの白猫をびっくりし逃げ出してしまいました。猫は数日間発見されず、最終的にはセットの垂木に隠れていることが発見されました。誰かがその瞬間の猫を撮影していました。完成した映画の中でブロフェルドの制御室のセキュリティシャッターが閉じられたときに、怖がっている猫の映像がそれにあたります。
◎小説では、イアン・フレミングはブロフェルドの隠れ家を海岸に建つ城であると説明しています。ケン・アダムはこれは決して建設できないことを日本のロケハンをしている時に理解しました。日本人は台風を恐れて海岸に直接城を建設したことはなく、その代わりのアイデアとして精巧な火山の秘密基地セットが作成されました。
◎製作中の『007は二度死ぬ』の現場の雰囲気はとても悪かったようです。ショーン・コネリーはボンド役に飽き、007シリーズへの国民の関心に不満を抱いていました。映画のポスターに書かれ役に立たなかった「Sean Connery is James Bond」のコピーにも不快感を表していました。さらに、バーナード・リーとロイス・マクスウェルは、ショーンの実の弟であるニール・コネリーが主演を務めるジェームズ・ボンドのモノマネ作品『ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦』(1967)に出演し、長男のコネリーはこの作品について不満を抱いていることを彼らに話しました。
◎この『007は二度死ぬ』のストーリー構成の多くは、
『私を愛したスパイ(The Spy Who Loved Me)』(1977)、
映画『007/私を愛したスパイ』のあらすじとキャストは?
『007/ムーンレイカー(Moonraker)』(1979)、
映画『007/ムーンレイカー』のあらすじとキャストは?
『007/トゥモロー・ネバー・ダイ(Tomorrow Never Dies)』(1997)、
映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のあらすじとキャストは?で広く再利用されました。
◎「リトル・ネリー(Little Nellie)」は、ケン・ウォリス(Ken Wallis)のオートジャイロ(Autogyro)をモデルに作られています。発明者でもあるK・H・ウォリス空軍中佐は、この映画で実際にリトル・ネリーを操縦しました。機体は、プロダクション・デザイナーのケン・アダムが彼の発明について話しているラジオのインタビューでウォリスの話を聞いた後に、映画製作に取り入れられた。ウォリスは、リトル・ネリーの空中シーンを撮影するために合計85回の飛行を記録しなければなりませんでした。1シーンを除いて日本の山で撮影されました。日本の法律は空中でのロケットの発射を禁じているため、ロケットが発射されたシーンは日本国外で撮影されました。
◎ブロフェルドの外見についてのドナルド・プレザンスのアイデアには、彼が顔の右側にある深い傷に落ち着く前に、こぶ、片足を引きずる、ひげ、不自由な手が含まれていました。しかし、目に接着剤が付いていたため、彼は撮影中に不快な思いをしました。
◎火山の秘密基地でのクライマックスの総攻撃で忍者を兼ねるスタントマンのチームにある程度の信憑性を獲得するために、プロデューサーは日本で唯一の忍者のマスターである34歳の武術家・初見良昭さんに協力を求めました。彼は引退した高松利次先生からその伝統を受け継ぎました。高松と初見は、1962年から1966年の間に日本で製作された日本映画『忍びの者』忍者暗殺者シリーズの最初の2本の製作でアドバイスをしていました。この映画では初見が忍者の登場人物だけでなく、タイガー田中の私用列車に乗って少しの間出演シーンがあったので、ボンドと田中の酒の話し合いを中断して、ボンドが大里化学工業の金庫から持ち帰ったネガを現像した写真を見ることになったと発表しました。
◎プロダクション・デザイナーのケン・アダムの火山の秘密基地セットは、パインウッドスタジオに建設され、可動ヘリコプタープラットフォーム、作業用モノレールシステム、発射台、リフトオフをシミュレートできるフルスケールのロケットモックアップで構成されていました。700トンの構造用鋼と200マイルの管状鋼が使用されました。ケン・アダムはかつて、このセットはロンドンのヒルトンホテルで使用されていたよりも多くの鋼を使用したと述べました。このセットは、石膏200トン、500,000個の管状カップリング、モノレール用の8,000のまくら木、および天候からセットを保護するために250,000平方ヤード以上のキャンバス製の布も使用し、セットの建設にすべて使用されました。セットの予算は 100万ドルでした。
◎小説「007は二度死ぬ」は、生涯で最後に出版されたイアン・フレミングのジェームズ・ボンドの小説となりました。1964年3月16日に出版され、シリーズの12番目の小説でした。ジェームズ・ボンドの映画シリーズで初めて、映画のストーリーと原作小説の内容がほとんど似ていませんでした。いくつかのキャラクターと日本語の設定、いくつかの細かいディテールはそのまま残ったが、2つのストーリーは根本的に異なるものになりました。
◎この映画『007は二度死ぬ』は、『007/カジノロワイヤル(Casino Royale)』(1967)の2カ月後に公開されました。これは、同じ年に2本のジェームズ・ボンド映画が公開された2回のうちの1回目です。2回目は16年後に『007/オクトパシー(Octopussy)』(1983)と『ネバーセイ・ネバーアゲイン(Never Say Never Again)』(1983)で再びおきました。
◎東宝に所属していた浜美枝と若林映子は、『キングコング対ゴジラ』(1962)(英語タイトル『King Kong vs. Godzilla』)、『国際秘密警察シリーズ 鍵の鍵』(1965)(英語タイトル『What’s Up、Tiger Lily?』(1966) 。後者はジェームズ・ボンド映画の模造品で、本物のジェームズ・ボンド映画のプロデューサーは彼女ら2人の魅力に惹きつけられましたが、すぐに彼女たちの欠点が見つかりました。どちらの女優も英語が不得意でした。若林映子はキッシー、浜美枝はアキとしてそれぞれキャストされ、どちらも英語で指導されました。浜美枝はあまりにも英語に苦労していたので、2人の女優が役を入れ替えて、彼女がキッシー鈴木を演じることになりました。
◎『007は二度死ぬ』は、これまでで最も洗練されたボンド映画のひとつと考えられています。イギリス、ロシア、アメリカを主な舞台とするのが今までのボンド映画でしたが、『007は二度死ぬ』は映画の舞台がほぼ日本に設定され、映画の中盤にある詳細な日本の結婚式に向けて数分が費やされています。これは、フレミングのオリジナルの小説の物語と一致しています。「007は二度死ぬ」は、通常のボンドの小説よりも多くのページを日本の文化について書かれています。映画の脚本は、前作の映画『007/サンダーボール作戦』の公開後に流布した噂、
「ジェームズ・ボンドは死ぬ」、
「ジェームズ・ボンドは結婚する」、
「ジェームズ・ボンドは日本人になる」
に触発されました。それらのすべての要素が映画『007は二度死ぬ』に組み込まれ、すべてボンドが身分を偽装するために利用されました。
◎この映画『007は二度死ぬ』は、ジェームズ・ボンドと田中(別名:タイガー)の間の友情を描いているという点でも珍しい作品です。二人は映画のいくつかの場面でぐずぐずしている様子が見られ、映画の流れを通して単なるビジネス関係ではなく、真の友情を形成しているように見られます。これはフレミングの小説にも当てはまります。タイガーはこの映画でボンドのニックネームを思いついたようで、一時は彼を「ゼロゼロ」と呼んでいました。
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記事作成日:2020/08/22
最終更新日:2022/02/22